ふるやの森

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【アドベンチャータイム】最終回後の「未来世界」の考察

はじめに

アドベンチャータイムの最終回「冒険は続いていく」は、遠い未来の時代から物語が始まります。この未来世界は、最終回以前から登場しており、「レモンホープの帰郷」や「キューバーの冒険」に描かれた未来と同時代なのでしょう。

フィンやジェイクが生きていた時代とは大きく様子が変わっており、とても長い歳月を経ていることが伺えます。「キューバーの冒険」の原題「Graybles 1000+」から察すると、フィン達が生きていた時代から1000年が経っているようです。

この未来世界は、短い登場時間ながらも多くの謎がちりばめられており、今回の記事では、未来世界についての情報を整理しつつ、残された謎を考察していきたいと思います。

なお、この記事は「Adventure Time Wiki | Fandom」を多く参考にしていますので、このあたりの海外サイトを見慣れている方からすると、「もう知ってるよ」という話も多いかと思います。

フィンとジェイクの巨大像の謎

フィンとジェイクは、当然この時代よりずっとずっと前に死去しているはずですが、「冒険は続いていく」のOPに、二人をかたどった像の残骸が確認できます。

横向きになっていますが、よく見るとフィンとジェイクが後ろ姿を見せて倒れていることがわかると思います。奥のジェイクの像の、上にちょろっと出ている部分は「しっぽ」ですね。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

謎な点として、像の近くに壊れたネームプレートらしいものが見えるのですが、名前が「FIN」「JER」と書かれているのが読めます。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

ジェイクのつづりは「JAKE」ですが、そうではなく「JER」。「JER」といえば、ジェイクの弟ジャーメイン(JERMAINE)が思い当たりますが、ではこれがフィンとジャーメインが並んだ像なのかというとそれも考えにくい気がします。
ビーモがフィンの名前を忘れて「フィル」「フレッド」とか口走ってしまったように、この像が作られた時代には、ジェイクの名前がジャーメインと混同されて伝わっていた、と解釈すれば一応話は通ります。

個人的に、この像は、ジェイクの正しい名前が伝わっていないくらい曖昧な伝承になっている時代に、フィンとジェイクをしのんだ後世の誰かが作った立てた像なのではないかと予想しています。
無残に壊れているのは、経年劣化によるものではなく、何かしらの争いで破壊されたからのように思えます。

「シャーミーとベス」は何者か

「冒険は続いていく」に突如登場した「シャーミーとベス」のコンビ。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

見るからにフィンとジェイクを想起させるこの二人ですが、シャーミーはフィンの転生した存在と思わしく、また、ベスはジェイクとレディレイニコーンの子孫に当たるのは公式に間違いないようです。

アドベンチャータイムの死生観では、生命は寿命が尽きるとまた新しい存在へ生まれ変わっていくことになっていました。「心の金庫」の回では、フィンの前世はショウコという少女であったことが明かされましたが、同様にフィンを前世として生まれたのがシャーミーではないかという予想が成り立つわけです。

シャーミーが図書館と聞いて嫌がりますが、図書館嫌いはフィンに見られた性格であり、フィンの性質が受け継がれているように思えます。

また、アドベンチャータイムのストーリーボード製作者であったsteave wolfhard氏は、自身のtumblrの2018年9月11日の投稿にて、未来世界の初期構想を公開しているのですが、そこで「『本当に愛は勝つ?』回での、フィンの「ぼくはネコだ!身軽なネコちゃんだ!」というセリフにより、シャーミーはネコになった」という旨を説明していました。ただし、この説明も、設定上シャーミーがフィンの生まれ変わりであることを意味しているのかは、ちょっとよくわかりません。

https://wolfhard.tumblr.com/post/177979408531/going-to-do-a-bit-of-an-adventure-time-dump

wolfhard.tumblr.com

「シャーミー=フィンの転生」説については、製作者としては、断言はせずにそれとなく匂わせるだけに留めているのでしょう。

ジェイクの子孫たちとエイリアン

ベスはOPで「BETH THE PUP PRINCESS」、つまり「PUP」という種族のプリンセスであると書かれています。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

ベスは「犬顔」「頭のツノ」という見た目の特徴からもわかるように、チャーリーやキムキルワンと同じ種族で、「PUP」とはジェイクとレディ・レイニコーンの子孫一族です。PUPは「子犬」のことですが、この場合「ジェイクの可愛いこどもたち」の意味合いでしょう。

最終回OPでは、かつてのキャンディ王国を思わせる立派な城塞都市が確認でき、PUPはかなり発展した国家を築いているのがわかります。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

これまたsteave wolfhard氏は、2018年9月3日に自身のtumblrでPUPたちの設定画(劇中未登場のも含む)をたくさん投稿しており、付記された文章を読むと、劇中ではわからなかったPUPたちのバックボーンが見えてきます。

https://wolfhard.tumblr.com/post/177700697616/here-are-the-last-pup-posts-x-posted-from-my

wolfhard.tumblr.com

まず、最終回OPで、アイスシング(王冠によってアイスキング化したガンター)に氷イナズマを放っている白色の老いたPUPは、ギボン(Gibbon)です。左眼が宝石になっています。

設定画の説明を参考にすれば、ギボンは「7番目に出生したPUPであり、Pee-Pee(おしっこ?)という能力を持っていたが盗まれている。新しい能力は、ピンクの氷と、不死。PUPたちの超能力を消去する技を習得している」…ということらしいです。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より (C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

このギボンですが、ここで初めて顔見せした新キャラではなく、以前のエピソードで既に登場していました。

「父と娘のカード・ウォーズ」回で、チャーリーが自分の未来を占ったシーンに登場していた、チャーリーの息子です。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

PUPの出生順は、チャーリー、ティーヴィー、ヴィオラ、キムキルワン、ジェイクジュニアで1~5番目、キムキルワンの娘のブラウニーが6番目、そしてチャーリーの息子ギボンは7番目というわけですね。

ギボンはなんと何百年も生きながらえていることになりますが、これはアイスシングの左眼の宝石を手に入れて自分に取り付けたことで、氷を発する能力とともに不死身の肉体を手に入れているためでしょう。最終回EDの描写では、アイスシングの左眼の宝石はタートルプリンセスへの結婚指輪に使われていたはずであり、これをギボンが手に入れるまでに、はたしてどんなドラマがあったのかはわかりませんが…。

ベスについてですが、設定画には「LOST(行方不明)」「EXILED(追放された)」「FUGITIVE(逃亡者)」「WANTED(お尋ね者)」「ENEMY OF THE KINGDOM(王国の敵)」と書かれており、つまりベスは高貴なプリンセスであったものの、何らかの事情で王国から追放されてシャーミーと一緒に暮らしているようです。

ベスの本名は「Betony Burrito Jakson IV」という立派な名前ですが、王国を追放された身上ゆえに現在は「Beth」とだけ名乗っているのでしょう。ミドルネームがジェイクの好物である「ブリトー」なのが笑えます。「Jakson」はいわゆる「ジェイクの息子」という意味で、ヨーロッパに見られる「~ソン」系の名字ですね。能力は「ボディホール」で、作中の描写では、遠くの物体をテレポートさせて自分のお腹の穴から取り出すことができるという能力でした。

ベスが何故、祖国を追われているのかは不明ですが、ギボンがPUPの超能力を消去できることを考えると、ベスは超能力を消されそうになって逃亡したとか、そういう事情があるのかもしれません。

また、最終回OPでは、王国の建物の窓からチラっと顔を出していたPUPがいました。設定画のなかのSUPREMOというキャラに似ているようですが外見が微妙に一致していないので、違うキャラのようです。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

気になるのが、PUPと「エイリアン」の関係です。この時代、宇宙服に身を包んだキャラクターが多く地球を訪れていますが、Complete Collectionの字幕でも「aliens(宇宙人)」と表記されています。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

キューバーの冒険」では不注意から花嫁を宇宙空間へ放りだしたキューバーに復讐するため、キューバーを追い回していましたが、最終回OPではギボンと共に飛行装置に乗っている姿が描かれており、PUPたちと協力関係にあるのがわかります。

このエイリアンなのですが、上で紹介したsteave wolfhard氏による初期構想(2018年9月11日のTumbler投稿)では「pup soldiers」 と呼ばれており、設定画にも「pup discendants(pupの子孫)」と書かれています。つまり、実はこのエイリアンたちもPUPであるらしいです。

エイリアンたちは韓国語を話しますが、韓国語といえばPUPたちの始祖レディーレイニーコーンもといレイニーコーン族の言語であり、たしかに繋がりを感じさせます。

しかし、同じPUPという括りでこそあれ、チャーリーやティヴィー、ベスやギボンと比べると、このエイリアンたち(pup discendants)はいくつか異なる特徴が見受けられます。

・エイリアンたちは宇宙空間にかぎらず地球上においても宇宙服を着ている。ベスたちはそんなものは着ていない。

キューバーにスーツが壊されて宇宙空間を飛んでいったエイリアンの花嫁を見ると、PUPと同じく「犬顔」をしているが、ベスたちのように耳やツノは持っていない(ツノがないので、超能力も使えない?)。

・ベスやギボンたちは外見的な個体差が大きいのに対し、エイリアンたちはどれもまったく同じ姿に見える。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

推測ですが、彼ら「pup discendants」は、地球を離れて宇宙空間へと進出していったpupであり、環境に適応して身体的特徴が変化(ツノや耳が退化)していったのではないかと思います。これなら、PUPの子孫であると同時にエイリアンでもあるということで一応、筋が通ります。宇宙育ちのため筋力が弱く、宇宙服の補助がないと活動できないとか、そういう事情も考えられそうです。

最終回OPで描かれたPUPの王国には、天空へ向かう軌道エレベーターらしきものが作られていました。PUPはかなり積極的に宇宙進出をしているようです。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

放棄されたキャンディ王国

「レモンホープの帰郷」では、長い旅を終えて故郷へ帰ってきたレモンホープの未来の姿が描かれていましたが、そこに登場したキャンディ王国はフィン達が生きていた時代の美しい都市風景から大きく変わっていました。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

城を隠すほどの高層建築が立ち並んでおり、かつては多数の人口を抱えた非常に発展していた都市であったろうことがしのばれますが、廃墟となっていてもう人が住んでいるようには見えません。城の頂上に生えていた巨木も枯れています(ネディの生存はいかに…)。キャンディ王国の周辺には、大きな山々やコットンキャンディの林があったはずですが、それらは見る影もなく、更地になってしまっています。

ただ、キャンディ王国の建築物は廃墟とはいっても綺麗に形が残っており、戦闘で破壊されたりはしていないように思えます。

では、この王国の住人達、キャンディピープルはどこへ行ったのか。

キューバーの冒険」と「冒険は続いていく」には、大地を闊歩する巨人が登場していました。公式には「Prize Ball Guardian」という名前であり、いわゆる「ガチャガチャ」の機械を模した形状をしています。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より (C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

キューバーの冒険」では、キューバーが、かつてスターチーに取り付けられていた発信機を入手したことで、Prize Ball Guardianはキューバーをスターチーだと認識して自らの内部に保護しました。

そして、キューバーがPrize Ball Guardianの内部で目にしたものは、キャンディーピープルたちが眠っている沢山のカプセルでした。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より (C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

つまり、キャンディ王国はなんらかの事情で放棄され、祖国を失ったキャンディピープルたちは Prize Ball Guardianの中で保護されて旅を続ける、流浪の民と化しているようです。Prize Ball Guardianを作ったのは、やはりプリンセス・バブルガムでしょう。

キューバーがPrize Ball Guardianの内部をエレベーターによって上層に移動するさい、居間のような空間が一瞬映りますが、壁には、ありし日のキャンディ王国の写真が飾られているのがわかります。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より (C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

それじゃあ、いつまでもキャンディピープルをPrize Ball Guardianの中で眠らせておくのかというと、これはあくまで一時的な処置であり、おそらく地球外の植民星の環境が整って移住するまでの間です。「私の夫はエイリアン」の回で、バブルガムは地球に再び危機が訪れる可能性に備え、無人の惑星に新しいキャンディ王国を建設しておくための探査用のロケットを飛ばしていました。この回のラストでは、ツリートランクのエイリアンの夫が、バブルガムの探査機を自分たちが放棄した故郷の星に送り、植民計画が上手くいくようおぜん立てしてくれたことが語られており、地球外に新たなキャンディ王国を築いておく準備はもう始まっていました。

そして、バブルガムが危惧していた通り、何事かの異変によってキャンディ王国は放棄せざるをえなくなったのでしょう。Prize Ball Guardianに保護されているキャンディピープルは、いつかはテラフォーミングが完了した新しいキャンディ王国の星へと旅立っていくのだと思います。

ちなみに、「冒険は続いていく」の冒頭パートでは、Prize Ball Guardianの周りを、ジェットパックを装備したバナナガードが警備している姿が見られました。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

この特殊なバナナガードは、同回の過去パート、ガム戦争の場面にバブルガムの新兵器として登場しています。ただ、未来に登場するタイプは、技術革新なのか頭部がふたつ重なったような奇妙な形状をしているという違いがあります。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より (C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.
無人のレモン王国

また、「レモンホープの帰郷」に登場したレモン王国も、レモングラブ伯爵をはじめレモンピープルたちはいなくなっていて、無人のようでした。キャンディ王国と同じように放棄されたのでしょう。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.
元素の化身たち

アドベンチャータイムの世界には、火・氷・スライム・キャンディという4大元素が存在し、また、いつの時代にも元素の化身が出現するという設定でした。元素の化身たちはたとえ死んでも、また別の誰かが化身として新たに誕生するため、世界が大変化によって滅びても、化身たちはまたその都度生まれ直してきました。

この未来世界では元素の化身たちはどうなっているのでしょうか。

まず最終回OPの一番最初の画面、よく見ると右側に氷の球が映っています。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より (C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

これは、ミニシリーズ「Elements」の最終話「救世主」の回で冬眠状態になった氷の化身ペイシェンス・セントピムが入っている球ですね。氷球がそのまま健在ということは、ペイシェンスは1000年経ってもいまだ冬眠状態のようです。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

その後、OPには、マントをなびかせて戦車に乗ったキャラが、ずんぐりとした緑色のキャラを砲撃している場面が映りますが、これは公開されているストーリーボードの記述では、火の元素の化身「X」と、スライムの化身「O」だそうです(新しい化身が誕生しているということは、フレイムプリンセスとスライムプリンセスが死去しているのは間違いない事実になります…)。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

一瞬の登場ですが、XがOを戦車で攻撃しているシーンを見るに、この時代、化身同士は対立関係なんじゃないかという気がします。キャンディ王国の廃墟化や、フィンとジェイクの巨像の倒壊も、化身同士の争いがあった結果なのかもしれません。

キャンディの化身・バブルガムについては、次の項目で扱います。

バブルガムとマーセリンはどうなったのか?

この未来世界にバブルガムとマーセリンの姿は登場していないように思えます。かつてのマーセリンの家にはシャーミーとベスが住んでいて、マーセリンはいませんでした。

しかし、「冒険は続いていく」のOPに、この二人らしき姿を見つけることができます。

まず最初のアイス王国が映る場面で、窓柵を握っているピンク色の手が見えます。これがバブルガムなんじゃないか?と考えられるわけです。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

それと、もう少し後のシーン、変な生き物に騎乗して、望遠鏡で遠くを見ている人物の後ろ姿が映りますが、これがマーセリンだと考えられます。この人物が持っている望遠鏡には「MA」という文字が表記されており、マーセリンのフルネーム「Marceline Abadeer」の頭文字であると解釈できるからです。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

また、このマーセリンとおぼしき人物が騎乗している謎の生物は、マーセリンの初登場回である「恐怖のヴァンパイア・クイーン」に登場していたキャラです。わざわざこんなマイナーキャラを再登場させているのも、マーセリンとの関連を匂わせる意図があるように思えます。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

この謎の人物たちがバブルガムとマーセリンだとすれば、映像から予想されるのは…「バブルガムがなんらかの理由でアイス王国の牢に幽閉されていて、それを助けにきたマーセリンが望遠鏡でバブルガムの居場所を探している」という状況です。

しかし、バブルガムに何が起こって誰に幽閉されているのかとか、これ以上のことはもう情報が無さ過ぎて有力な予想は立てられません。

とはいえ、バブルガムのアイス王国幽閉を実行しそうな人物とその理由をいくつか考えてみました。

ペイシャンス・セントピム…アイス王国で活動を再開したペイシャンスが、またよからぬ事を企んでバブルガムを閉じ込めた。

アイスシング…アイスキングみたいになりたいと思っていたら、プリンセス誘拐願望にとりつかれてしまい、バブルガムを誘拐した。

火の化身X…OPでスライムの化身Oを攻撃していたように、バブルガムとも対立しており、バブルガムを追い詰めてアイス王国に閉じ込めた。

ギボン…氷の力を得たギボンはアイス王国を支配し、なんらかの理由からバブルガムと対立し、バブルガムを捕らえてアイス王国へ閉じ込めた。

 

①については、OPでペイシャンスの氷球は健在であり、ペイシャンスは活動を再開していないと考えられるため、可能性は低い気がします。

②も、未来世界におけるアイスシングの姿はすごく動物的に見え、誘拐とかそういう器用なことが出来るようにはあんまり見えません。

③も、氷に弱そうな火の化身がアイス王国に相手を閉じ込めるという状況がなんか想定しにくいです。

個人的にありえそうなのは④かなと思っていますが、バブルガム幽閉にいたるまでの具体的なシナリオが考えつかず、まあ確かな根拠は無い、単なる思いつきです。

マーセリンとバブルガムの関係はファンの間でもとても関心が高いトピックなので、公式にいつか詳しいことが明かされるのを期待したいものです。

未来のコブコブ星のプリンセス

忘れがたいコブコブ星のプリンセスのランピー(Lumpy space princess)ですが、この未来の時代には既に死去しているらしく、ビーモの家にはランピーの額に嵌まっていた星が立てかけてあるのが発見できます。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

やはりランピーは死んでしまったようですが(コブコブ星人はどれくらいが寿命なんだろうか)、最終回OPを見ると、新しいコブコブ星のプリンセスがさりげなく登場しています。キャンディ王国の廃墟を背景にシャーミーとベスが遊んでいる画面の右上にいるキャラです。コブコブ星の王家の証である「星」がちゃんとありますね。

このキャラの登場自体これっきりなので詳しいことはまるでわかりませんが、未来世界においてもコブコブ星(Lumpy space)は健在であってほしいと思います。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より
(C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.
アイスシング(ガンター)の変化

キューバーの冒険」では、最後キューバーが飛行していると、アイスキングの頭部だけが鳥と化したような奇妙な怪物と遭遇するシーンがありました。 

当初、これは王冠に心身を侵されたアイスキングの成れの果てなのではないかとか予想されていましたが、最終回において、王冠をかぶったガンターが「アイスキングみたいになりたい」と念じて、アイスキングそっくりに変化した姿だったことがわかりました。

この形態は海外ではアイスキングならぬアイスシング(Ice Thing)と呼ばれています。

最終回EDでは、タートルプリンセスと結ばれ、コロっと外れてしまった左眼の宝石を、結婚指輪に使っていました。この左眼の宝石は、どういう経緯をたどったのか、その後ギボンの手に渡っています。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より (C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

アイスシングは、「ガンターぼうやは、どこじゃ」と喋ったり、バブルガムたちに人形劇を披露していたりと、人間的な思考は持ちあわせているように見えました。しかし、変身当初と1000年後を比べると、様子がずいぶん違って見えます。

大きな違いは、首より下の手足や身体がなくなって鳥を思わせるフォルムに変わっており、空を飛行していることでしょう。「キューバーの冒険」の登場シーンでバカ笑いしていたのも異様でした。

想像ですが、アイスシングは見た目も動物的に(鳥っぽく)なって、人間らしい思考や言語は失ってるのではないかと思います。強力な魔力を持つ「王冠」の副作用がやはり何かあったのでは、と考えてしまいますが…。

伴侶のタートルプリンセスはアイスシングより先に死去したはずであり、そのことも何か影響を与えたのかもしません。

また、最終回OPではギボンから攻撃を受けていましたが、そこまでギボンがアイスシングを目の仇にしている理由は謎です。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より (C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.
成長したスイート・ピー

最終回の未来世界には、ツリートランクとブタさんの愛児スイート・ピーも登場しています。OPでもシャーミーとベスを頭にのせていたほか、後半クラッグドア山の周りを闊歩している姿が見られました。

リッチの骨格を持つスイート・ピーは不死身もしくはすさまじい長命らしく、1000年が経っても生き続けています。山のように大きな体の青年に成長し、立派なヒゲをたくわえてとてもたくましいです。

スイート・ピーが背負っている剣は、ナイトスフィアの魔力を注入された「夜の剣」で、「マーシーとハンソン」回でペパーミントバトラーが鋳造してフィンに授けたものでした。おそらくフィンが次世代の戦士として成長したスイート・ピーに託したのでしょう(剣が巨大化しているのは、魔剣の特性?)。

さりげない登場シーンですが、甘えん坊な子供だったスイート・ピーがすっかりおっさんに成長しているのが微笑ましいです。

Madman Entertainment/『Adventure Time: The Complete Collection』より (C)Cartoon Network.A TimeWarner Company.

おわりに

アドベンチャータイムは表向きハッピーエンドの最終回で幕を閉じていますが、ちらほらと垣間見れる1000年後の未来像からは、決して平和で明るい未来が続いていったわけではないことが示されています。

単純なめでたしめでたしで終わらないハードな世界と、あえて多くを明かさない謎めいた語り口が、作品に深い奥行きを与えていて、アドベンチャータイムのユニークなところだと思います。

 

※未来世界において「ウーの王」と称されているビーモについては、また別の記事で書きたいと思います。