Rainy Day Daydream

だいたいアドベンチャータイムに関することを書きます。基本ネタバレなので、アニメ全話視聴済みの方向けです。

無印コミック版アドベンチャータイムを紹介・その②(Issue36~61)

引き続き、無印コミックシリーズの紹介です。

今回はIssue36~61まで!

 

その①(Issue10~35)

その③(Issue62~74)

その④(Issue75)

 

Issue36~39 料理ができなくなって大パニック!…の巻

魔物を追いかけていたフィンたちは謎のポータルをくぐりぬけ、たどり着いた先は、なんと地球外の月面基地だった!

月には謎のダンジョンがあり、そこでフィンは美しい剣を手に入れる。何者かが残した説明文によれば、これは月の守護者のための剣であり、刀身からはビームを放てるのだ!

そのころ、地球のウー大陸では、謎の老魔女が廃墟となった謎の神殿を訪れ、あやしい儀式を行っていた。

「アークロサックよ!謙虚なしもべ、ジャニス・ビズルサッチャーがあなた様を時空を超えて召喚します!」

と、そこへフィンがふざけて月面から発射したビームが魔女ジャニスに命中!ジャニスは気絶してしまった…。しかし儀式はどうなったのだろう?

さて翌日、ウー大陸で異変が発生する。

なんとウー大陸じゅうの全員が、どういうわけか料理を作る方法を忘れてしまったのだ!ツリートランクがアップルパイを作れなかったり、レストランでも料理が提供できなかったり…。この状況にバブルガムは慌てる。このままでは、キャンディーピープル同士で共食いの危機が⋯。

さらに、レモングラブやマローダー、スーザンやフィッシュピープルたちがキャンディ王国に集結し、食べ物をくれと迫りだした!バブルガムはもうすぐ治療法が完成するから待つようにとウソをついて、その場をやり過ごす。

そのうち驚くべきことが起こる。ジェイクは食糧庫に残ったわずかな材料でサンドイッチを作り出してみせた。なぜかジェイクは、サンドイッチの作り方を覚えていたのだ!

ジェイクの体内にはこの危機を救えるかもしれない何かがある。バブルガムの技術で超小型されたフィンと、そして伸縮能力で体を縮めたジェイクは、ジェイク自身の体内を調査することに。そしてジェイクの体内にあったのは…なんとサンドイッチの神殿!

そこに祀られていたのはあの究極のサンドイッチのほんの小さな破片だった!!

究極のサンドイッチの欠片は結晶化されて保存され、この神殿とサンドイッチピープルを創造し、ジェイク自身にもサンドイッチを作らせるパワーを与えていたのだ。

フィンたちはサンドイッチピープルから結晶を強奪し、なんとか体内から脱出して結晶を持ち帰ることに成功。結晶を見た人々には料理の作り方が蘇っていき、危機は去ったのだった…。

さて事件が解決して安穏が戻ったと思いきや、あの魔女ジャニスがキャンディ王国に現れる。ジャニスによれば、自分が偉大なシェフが召喚したので、ウー大陸のすべての人々にごちそうを作ってくれるはずだという。どうやらソレを召喚するために、皆に料理の方法を忘れさせる必要があったらしく、人々に呪いをかけたのはジャニスだったのだ。

そしてついに、青空を裂いて偉大なるシェフ・アークロサック(Arklothac)が登場。

ジャニスの言うとおりなら、素晴らしい料理をふるまってくれるというが…しかしいざ現れたアークロサックは、ジャニスの言うことなどまったく無視。この世界を切り刻み、焼いて、古き友人たちに供すると言い出した!目論見がはずれ大変なことになったことがわかり呆然とするジャニス…。

アークロサックは邪悪な分身を放ち、この世界を材料に調理を開始した!

はたしてこの恐るべき相手に、フィンとジェイクはどう立ち向かうのか…!?

 


 

前の記事で書いたとおり、本シリーズはこのIssue36より執筆陣が交代

脚本は、ライアン・ノース氏から、クリストファー・ヘイスティング(Christopher Hastings)氏へとバトンタッチします。氏が脚本を務めたこの時期(Issue36-61)は、第2期という感じでしょうか。

作画も、Issue36-49までの期間は、AT関連書籍の挿画でおなじみなザカリー・スターリング(Zachary Sterling)氏が担当となります。

そんな新布陣による最初の長編ですが、個人的にはちょっとノリ切れなかったかなぁ…という感想。

アニメ版では存在感の薄かった「」にスポットを当てていたり、予想できない方向に転がっていくストーリー展開は良かったんですけど、肝心のアークロサックとの対決は案外あっけなかったりします。

そんな今回注目の要素が、オリジナルのフィンの武器「月の剣」。月面の謎の遺跡に置かれていたというじつにミステリアスな背景を持ち、さらにビームを撃てる強力な武器ですが、じつはフィンがケガをすると剣も連動してボロボロになってビームが撃てなくなるという、ゼルダの伝説」のマスターソードのパロディ仕様!(そいえばHP満タンだとビームは、ゲームの「ネームレス王国」でもオマージュされてましたね)

ただ、ケガしたフィンの体力を回復させるために、ジェイクがフィンの尻にキスするみたいなシーンがあったりして、なんかそういうギャグが生理的に苦手で今回ノリにくかった一因ではあります…。まあこういうキモさがATらしさといえば、そうなんですけど…。

で、あらすじをちょっと長めに記したのは、今回登場する要素が、この編限りの単発ではないからなんですね。

くわしくは後述しますが、アークロサックの登場や月での冒険は、いわばこれからに向けての「布石」であり、その背景は以降の号で明かされていくことになります。

Issue40 願い事を当ててみせる?マジックマンの謎のたくらみ…の巻

今回の舞台は、キャンディ王国の上空に停泊する飛行船の中。

プリンセス・バブルガムは、ファンシーエッグフォークというタマゴ型の種族と面会していた。

ファンシーエッグフォークの人々は、いま全員がこの飛行船に乗って探検の旅をしているのだ!

そしてタマゴの彼らはとっても壊れやすく、一人でも破損すれば国際問題に発展する可能性がある。フィンとジェイクそしてビーモは、舞踏会の間エッグたちを守るようにバブルガムから依頼される。

と、そこへ現れたのはマジックマン!!しかし、今日はイタズラするつもりはなく、何か良いコトをしたい気分らしい。

マジックマンは叶えたい願いを1つ選べと言ってきた!

「すべての川をおいしいソーダに変える」「すべての牛に靴を与える」「ベッドにカラスの火山を置く」「ジェイクのためのジェットスキーを2つプレゼント」「費用対効果の高い公共交通機関」「ビーモを本物のウマに変える」「フィンのための難しい感情を表現する秘密のガイド」…。なかなか魅力的な物も含まれているが、本当にマジックマンは叶えてくれるのか?普段のヤツの迷惑行動を知ってるだけに、怪しまずにはいられない。自分たちの警備を邪魔するための企みかもしれないと疑いを述べるジェイク…。

フィンやビーモの服がおそろいの正装なのがかわいい

そんなフィンたちの態度を見て、マジックマンは不愉快になってヘソをまげてしまう。そして、今度は第四の壁を越えて、われわれ読者に対して話しかけてきた!!

なんと、フィン・ジェイク・ビーモの願いをこちらが代わりに選ぶよう言いだし、そして何を選んだのかをマジックマンは当ててみせるという!

一方そのころ、オウルベアという種族の一匹が群れからはぐれてしまい、飛行船のなかに乱入。もし走り回っているオウルベアとファンシーエッグがぶつかったりしたら大変なことに…。

はたして、マジックマンは本当にこちらが何を選んだか当てられるのか!?

そしてフィン・ジェイク・ビーモはエッグたちを守り切ることができるのか?

 


 

新執筆陣によるはじめての短編回ですが、やっぱり今回も実験的な内容

ファンシーエッグフォークの人々を守ろうと警護するフィンたちの話と、マジックマンの願い事当てゲームが、同時並行で描かれます。

で、マジックマンはどうやってこちらの選んだ願い事を当てるかと言うと…これが面白かった。「まず7つの願いごとの中から1つを選んだら、さらに1~10までの好きな数字のぶんだけ時計回りに移動し、今度は移動後のマスにそれぞれ振られている数字のぶんだけ半時計周りに移動して……」てな調子で指示に従っていくとだんだん候補が絞られていくという、いわゆる数理トリックなんですね!

しかし、ちゃんとマジックマンはこちらの願いごとを的中させて、叶えてくれるのか?…まあそんなことがホントに出来るのかどうか、読んでる途中で想像はつくかと思いますが…。

そして、まったく関係ないように思える、マジックマンのゲームとフィンたちの警護が最終的にいかに結びつくのか?これが、パズルのようなオチで面白かったですね。ただ、ちょっと展開が絵的にわかりにくく、何回か見返してしまいましたが…。

Issue41~44 フィンとジェイクのスパイ大作戦!…の巻

プリンセスバブルガムの忠実なる執事・ペパーミントバトラー。 彼には、秘密にしている裏の顔があった。

ある古城をバトラーは訪れる。その目的は、エージェント・ダブルオー・キャンディーバーという人物との面会。なんとペパーミントバトラーは秘密諜報機関の一員だったのだ。

同士からの報告を聞いていたバトラーだが、突然フィンとジェイクが壁をぶちやぶって登場!

フィンたちとぶつかったキャンディーバーは、運悪くスライムキューブモンスターの中に転落してしまった!

フィンとジェイクは悪気なく古城を探検していただけだったのだが、とうぜん怒ったペパーミントバトラー!いわく、キャンディ王国はある危機に瀕しているのだと言う。二人は、キャンディーバーの代わりに任務を遂行するハメになってしまった!

さてキャンディ王国城の塔にて、ペパーミントバトラーの秘密の部屋に案内されたフィンたち。

ペパーミントバトラーは「SWEETSSECRET.WARRIORS.ELIMINATING.ENEMIES & OTHER.TRICKY.SITUATIONS)」という組織の一員だった。

エージェント・キャンディーバーの使命は「オリファントドライブ」なるアイテムの回収で、それをフィンたちが代わりに行うのだ。なぜそれが重要なのかは秘密だというが…。フィンはミッション遂行にあたり、レーザーを発射する腕時計や変装グッズを受け取る。

オリファントドライブはクマが持っているという情報に従い、暗き森へと向かう。クマの住処をさがす途中、木々のなかに建つ塔を目にして驚くふたり!

塔の物見台に立っていたのは、あのウーの王だった!

しかも例のオリファントドライブを持っているではないか!!

フィンとジェイクは、クマに化けて塔に潜入を試みる。武器を鍛え、鎧を着こみ、クマたちは戦争の準備をしている様子。ウーの王は、クマの軍隊となにを企んでいるのだろうか…?

ウーの王に近づくことに成功したフィンたちだったが、タイミングわるく途中で変装が解け、ウーの王に正体がバレてしまう!オリファントドライブの回収は失敗し、脱出するふたり。

なんとかキャンディ王国に帰ってきたが、直後ペパーミントバトラーの塔がなぜか爆発!!

フィンとジェイクはペパーミントバトラー爆殺の犯人として投獄されてしまうのだった!!

いったい塔を爆破した真犯人は誰なのか?本当にペパーミントバトラーは死んでしまったのか?ペパーミントバトラーが求めていたオリファントドライブとは?

そしてウーの王はクマの軍隊を従えていったい何を企むのか!?

 


 

アドベンチャータイムスパイ劇」という、ありそうで無かったジャンルの話。

スパイものというだけで、なんとも面白そうでワクワクしてくるところです。本コミック独自設定ですが「ペパーミントバトラーが秘密諜報機関の一員」というのも、確かに「ありそう」というか、納得感はあって面白いアイデアじゃないでしょうか。

あらすじのとおり、オリファントドライブ回収・ウーの王とクマ軍団のたくらみ・塔の爆破…と、謎が謎を呼んでいくサスペンス仕立てのストーリーが楽しいです。最終的に数々の謎についてきっちり真相が明かされるようになっていて満足!

個人的に注目ポイントが、バブルガム最大の仇敵「ウーの王様」が登場していること。コミックシリーズってアニメ後期の登場キャラはあまり出てこないので、貴重なんですよね~!ウーの王様好きな私としては嬉しい登場でした。大胆不敵で狡猾、ウーの王の計略がいよいよ明かされる後半がクライマックスとなります。

ただ、ペパーミントバトラーの属する秘密情報機関について詳しいことが特に描写されなかったり、せっかくのスパイアイテムも二つだけしか登場しなかったりと、面白そうなネタがあまり深堀りされていないのがスパイものとしては少々物足りないところ…。

面白かったのですが、全6話のスピンオフシリーズの枠でやったほうがより充実した内容になった気はしますね。

Issue45 超実験的コミック、鏡の迷宮!…の巻

フィンとジェイクは、サーカステントのような場所を訪れている。

明らかに怪しく、何かの罠だと疑わしいが、罠とわかっていても入らなければならないのがヒーローというもの…。

2人を歓迎したのは、これまた怪しい魔法使い!警戒するフィンとジェイクだが、魔法使いは気にもせず「鏡の家」というアトラクションを紹介する。

と、そこへどこから来たのかアブラカダニエル、パンチボウル、ミスター・カップケーキ、小さなマンティコアがテントに入りこんできた。

4人は制止する間もなく、喜んで「鏡の家」の中へと入ってしまった!

彼らを追うことを決意したフィン。ジェイクは罠じゃないかと止めるが、例えそうであってもフィンは行かなければならないのだ。

魔法使いは「すべての時間は同時に起こっている、あなたはそれを順番に認識することを選んでいくだけだ」と告げ、フィンとジェイクを「鏡の家」へと案内する。

そして、その内部は、驚くべき空間だった!!

天井には鏡が張られており、その鏡のなかにも空間があって同じようにフィンたちが動いている!

フィンたちは出口を目指して進んでいくが、上下ふたつの空間は互いに干渉しあっており、やがて上下は反転し、過去と未来も入れ替わっていくのだった…。


 

すっごい実験的で、トリッキーな回!!

この回の構造がどうなっているのか、ちょっと言葉だけだと説明しにくいのでザックリと以下に図を書いたのですが、「鏡の家」のなかでは、鏡によって上段・下段に隔てられており、上段と下段では、フキダシの文字も含めてそれぞれ天地が逆に描かれています。

で、1ページ目の左下のコマからまずスタートし、次は右下→2ページ目の左下→右下…というように、下段のコマだけを真横に読み進めていくんですね。

この回の最終ページである10ページ目にたどりついても、そこが物語の終わりではありません。次は、本の上下をひっくり返します。すると、さっきまで上段だったコマが今度は下段になる。そして9ページ目→8ページ目…とさかのぼって読んでいくと、1ページ目に戻ってきて最後のコマに行き着く、という、めちゃくちゃ独特な読み進めかたになっています。

全体像としては、「U」をヨコ向きにしたような形の
トンネルの中をフィン達は下から進んでいる、ということになる

単にページが上段・下段に分割されているだけでなく、上段と下段でそれぞれ互いに干渉しているのが面白いところ

例えば下段のコマを読んでいると、途中で上段のコマから炎が落ちてきたりするんですね!この時点では何があったのかわからなくても、本をひっくり返して後半パートを読み進めていくと、あの時上段では火事が起こっていたことが明らかになる…というタネ明かしも面白い。

つまり、謎の魔法使いが言っていたように、「過去と未来が同時発生している」という摩訶不思議な状況が起こってるんです。なんか映画の「テネット」をちょっと思い起こしたり…。

一番最初のページが、始まりであると同時に最後のオチにもなっている、最初の場所にまた戻ってくるという半円環の構造であるというのがまた美しいと思いましたねぇ。

漫画が、時間の異なる複数のコマがひとつのページに収められている「異時同図」の表現であることを利用した構造であり、これぞ「漫画じゃないとできない」話でしょう!

ATコミックの実験精神、ここに極まれりという感じ。お見事。

Issue46~49 フィンに姉妹が!?謎の少女ガータの巻

父ジョシュアのビデオメッセージに従い、海中の寺院遺跡を訪れたフィンとジェイク。

指示のなかでジョシュアは、寺院のなかにある「彫像」はとても重要なものであり、壊れないよう守らなければならないと告げる。

フィンたちは崩れてきそうな天井から彫像を移動させようとするが、途中ジェイクがキノコモンスターに襲撃され、フィンがジェイクを助けようと動いたはずみに、彫像を倒して壊してしまった!さらに寺院そのものまでが崩壊!からくも寺院から地上へと脱出するが、パパのミッションを失敗してしまったことをフィンたちは悔いるのだった…。

さて、ツリーハウスに戻ると…見知らぬ半魚人少女がフィンたちの帰りを迎える。

ツリーハウスでくつろいでおり、フィンたちになれなれしく話しかけてくるが、いったいこの娘は誰なのか…?

フィンとジェイクは見知らぬ人を家に入れたのかとビーモに怒るが、ビーモは、彼女は見知らぬ人ではなく「ガータ」フィンとジェイクの姉妹のようなものだと言う!

ガータのほうも、2人が自分のことをまるで知らない態度なのにショックを受けており、記憶の呪いにかかっているのではないかと心配している。

ビーモとガータの発言に動揺するフィンとジェイク。もしや、おかしいのはフィンたちのほう?覚えてないだけで、以前から姉妹がいたというのか…??

それからしばらくが過ぎ、ガータの存在はある程度受け入れられつつあった。

とはいえフィンとジェイクには相変わらずガータについて何も覚えがない。いっぽうバブルガムやマーセリンたちは、ガータを前からいたものとして自然に受け入れている。フィンとジェイクだけが、彼女の存在を忘れてしまったのだろうか…

ガータの出現と同じくして、もうひとつ、フィンとジェイクの見知らぬ存在が現れるようになっていた。それは脳みそのような不気味な思考モンスター(thought monster)で、他人にとりついてその人の内心を暴露するいやらしい魔物。甘い物を好み、キャンディ王国を脅かしていた。

フィンとジェイクの記憶を心配したガータは、ゆかりの場所にいけば、子供時代の思い出を解き明かす手がかりがあるのかもしれないと提案する。3人はかつて赤ちゃんだったフィンたちが暮らしていたころの家へ行ってみることを決め、旅の途中、森のなかで夜を明かすことになった。

ガータの利発で明るい性格に、フィンとジェイクもだんだんと打ち解けていき、特にフィンは異性として彼女に惹かれていくのだった…。

その晩、あやしい物音で目覚めたフィン。例のモンスターが、自分たちの寝床に群がっているのに気づく!

そしてよく見ると…なんとモンスターは、眠るガータの口のなかから出現しているのだった!!

いったいガータは何者なのか?このモンスターたちとどんな関係があるのか?

そして父ジョシュアが秘めたる家族の秘密とは…?


 

フィンとジェイクの姉妹を名乗る少女が突然現れ、しかしフィンたちにはまったく心当たりがないという謎きわまりない状況。

フィンに姉妹がいただなんて、ある種ATの根幹部分を揺さぶるものであり、ホラ話としてはあまりに巨大で魅力的。先が気になってしょうがない、ガータの正体に迫るミステリーで、読者の興味をぐいぐい引っ張っていきます。

ガータは本当にフィンとジェイクの家族だったのか?
それとも偽の記憶を植え付けてそのようなフリをしてるだけ?

…その真相は、実際に読んで確かめてもらったほうが良いだろうと思うので、詳細は伏せますが、なかなか予想もしない展開で大いに楽しめました。個人的に、記憶の不確かさや存在の不安といった題材が好みなこともあり、このストーリーはかなり魅力的でした。

ちなみに、後に作られたアニメ版のスピンオフ「Fionna and Cakeに登場するイメージを先取りするような要素もあったりしたのも感心しましたね。

ガータ自体も、フィッシュピープルみたいな半魚人系の種族という異形の見た目ではあるんですが、賢い素直なキャラクターで、読んでるうちにしっかり愛着が湧いてくるんですよねー。ちょっとフィンとのロマンスっぽい描写もあったりして可愛いかったり…。

まあ、ガータのキャラとその設定について「こんなの認められないよ!」って人もいるとは思うんですが…個人的にはこれほど意欲的なプロットをやってくれたことは高評価です。

それでこの話、ラストがまた切ないんですよね…
一見明るいハッピーエンドのように描かれてはいるけど、なんとも哀しい結末だなと私は思っていて…。

今回紹介したなかでも、ミステリアスなストーリーが面白くて特に印象に残った一編です。

Issue50 過去から未来へ、フィンの前世を巡る旅の巻

物語は過去から始まる。

かつてリッチは英雄ビリーによって打ち負かされたが、倒されたリッチのそのエッセンスが近くの木に降りかかった。リッチの成分を浴びた木は、禍々しく邪悪な姿へと成長する。

そして時はくだり、その邪悪な木をフィンとジェイクは訪れていた。

すると木の中からフィンの名前を呼ぶ声が…。おそるおそるフィンたちが洞窟のような木の中を進んでいくと、奥には一冊のアルバムがあった。

めくってみると、アルバムにはフィンのこれまでの人生の瞬間を写した写真が何枚も貼られている。フィンはずっと撮影されていたのだろうか…。

しかしどうもおかしい…。ジョシュアたちに拾われる前のフィンの写真まで載っているのだ!いったいこんな瞬間を誰が撮影したというのか?

では赤ちゃんの頃より前のページには、何が載っているのだろう。フィンは自分の過去の秘密がわかるかもしれないと思ってさらにページをめくってみると…「彗星」「デイヴィー」「蝶」「謎の原生生物」…そこにあった写真は、フィンの前世の姿だった。

驚くと同時に、フィンは本のなかの世界に閉じ込められ、現実世界から消えてしまった!

ジェイクは本を持ち帰り、なんとかフィンを本の中から助けだそうと試みる。

そのころ、取り込まれた本の世界のなかで、フィンは盗賊の少女ショウコとなり、宇宙研究所の職員デイヴィーとなり、名もなき蝶となり、彗星となり、自らの前世を次々とさかのぼって追体験していくのだった…。

そして、どの時代にも、フィンの傍らには、怪しい黒い影の存在があった。

それはかつて木だったものが死んだ姿、自らを破滅させたリッチの記憶に囚われたもの。またの名を、宇宙の冷たく暗き存在、エントロピー、カオス。

その者が語るのは、自分とフィンは倒れるまで戦わなければならないという、果てしない戦いの宿命だった…。


 

今号から作画担当がまた交代し、Issue50-69までの期間は、イアン・マクギンティー(Ian McGinty)氏の執筆となります(スピンオフ「ペパーミントバトラーの事件簿」でも絵を担当していた方ですね)。

そんな新コンビによる一作目ですが、これは良ーい!!

フィンの前世に、リッチとの時空を超えた因縁と、コミックシリーズの他のエピソードと比較しても珍しい、非常に神秘的な物語

「心の金庫」「彗星とフィン」を明らかに意識した作風であり、コミック版ATはアニメ版のスピリチュアルな要素は取り入れなさそうと思っていただけに、こうしたエピソードがあったのは個人的にとても嬉しかったところです。

アニメ版を原作として「アニメでありそうでなかった話」が読めるのがコミック版の醍醐味ですが、今回もその意味で見どころが多数。伝説のリッチとビリーの対決の様子が物語の発端であることも注目だけど、またショウコの姿が見られたのがじつに喜ばしかったです(「心の金庫」好きなので…)。

そして、今回面白かったのが、フィンの変装「デイヴィー」を、実はかつてのフィンの前世のひとつだったとして解釈している点。あのデイヴィー・ジョンソンとは、人類文明が滅びる前の時代に生きていた宇宙研究所の職員だった…という設定が明かされました。

…まあ、コミックで書かれることは基本的に正史としては認められないということにはなってるんですが、しかしこの解釈は上手いなと思ったんですよ。

フィンがどうしてデイヴィーなんて名前や変装を思いついたのかといえば、それは前世の姿だったから!…なんてじつにしっくりくる展開つくづく思うのですが、コミックシリーズはアニメに逆輸入してもいいんじゃないか?ってくらい良いアイデアがたくさんあるんですよね。

フィンがこの時代に産まれてくるまでにいくつもの前世があり、そしてまた今フィンが生きる時代すら長い時間のなかの一部でしかなく、遠い未来の先にはまたフィンを受け継ぐ存在がいる…。

短編ながら、ATの核心に触れるような壮大さのあるお気に入りの回。これだけでも読んでみて欲しいと思えるほど。

Issue51~53 フィンが老人に!ジェイクの死の国 大冒険!…の巻

フィンとジェイクがホットドッグ王国のパーティーに興じている夜、近くの地面が裂けて、中からゴーストが現れた。

さて翌朝、ホットドッグ王国の国民たちが助けを求めにツリーハウスへとやって来た。なんと全員がエラく老けてしまっている!

じつは、昨晩現れたゴーストに触れられたところ、若さを吸い取られて彼らは年寄りに変えられてしまったのだ!

ホットドッグたちの呪いを解くため、ウワサのゴーストをやっつけることにしたフィン。ところがゴーストはフィンと会えたのを喜んでいる。じつは、このゴーストが住む死の国の「ゴーストアリカ(Ghost-O-Rica)」に問題が発生しており、それでフィンたちヒーローを探しに地上へ来ていたのだという!

じゃ、なぜホットドッグたちを老人に変えたのか?じつはゴーストアリカの知事が、住人たちに生命を吸い取る魔法のアーティファクトを装備させているためらしい。ゴーストたちを使って若さを集めさせ、若返りの秘薬を製造し、知事は自分でそれを飲んで生き返るつもりなのだ!

これは死の世界のみならず、地上の生ある者たちにとっても危機…。知事を止めにいくことを快諾したフィンだったが、感極まったゴーストについ触られてしまい、若さを吸われてフィンはすっかりじいさんになってしまった!!これじゃあ、若返りの秘薬が必要なのはフィンのほう…。フィンを助けるため、行くつもりがなかったジェイクまで、死の国へ行くことに。

現世と死の国の境界である洞窟へ向かうが、番人は「ここは死んでいるものだけしか通れない」と言ってフィンたちを通そうとしない。フィンは「死んでいる」とは「生命力がない」という意味だと推測。そこで、フィンは自らの本質たるフィンソードを番人に渡し、いっぽうジェイクは自らの伸縮能力を渡すことで、命をなくしたも同然ということで、2人は死の世界への通過を許可されるのだった。

しかし、自分は伸縮能力をなくし、フィンもまた剣すら持たぬ老いぼれ。武器を無くした自分たちへの不安を漏らすジェイク。それを聞いたフィンは一計を案じる。

「この旅の成功を祈るよ、きみのことを信じとる!」

「なにぃ?」

フィンは隙をついて現世へと戻ると、フィンソードを奪い返し、死の世界にいるジェイクに剣を投げ渡す!

ゲートは完全に閉じられ、あとにはジェイクとフィンソードだけが死の国に残された…。

はたしてジェイクだけでこのミッションを成功させられるのか!?

死の国における、ジェイクの孤独な冒険が始まる…。

 


 

ジェイクが実質主役という珍しいストーリーであり、フィンはほとんど脇役です。

早々にフィンがじいさんになってしまうという展開がちょっと衝撃的で、本来ゴーストの世界を救う気だったフィンのほうは老人化でリタイアしてしまい、むしろ元々ヤル気じゃなかったジェイクのほうがなりゆきで頑張ることになる…というのが意外な展開で面白い。相棒を救うため、持ち前の腕っぷしと知略を駆使して、死の世界を突き進んでいくジェイクが、かわいくって頼もしいです…。

さらに今回、ジェイクがフィンソードを使って戦うという、アニメにはなかった取り合わせがユニークだったりします。フィン1人がまるまる剣へと変じて出来たフィンソードには強い生命力があって、死の世界のゴーストたちを退ける強力な武器であり、フィンソードを持っているジェイクの姿がなかなかカッコいいんですよね~。つくづくジェイクの魅力が詰まった回です。

で、今回のポイントとして、アニメ版「死の国へ行こう」以来に「死の国」が再登場していることがあります。このコミックでジェイクが訪れるのはアニメには登場しなかった「27番目の死の世界」であり、作中の説明ではゴーストたちが果てしなくさまよう場所。とはいっても、そんな荒涼とした恐ろしい場所じゃなくって、普通に街があって酒場があったりと、死の世界のわりに、それなりに良さそうな場所として描かれてるのが面白かったりします。ただまあ、スピンオフ「ずっと一緒」で描かれた死の世界のイメージとはあんまり一致しない気はしますね…。

ちなみに、死んだばかりの魂を、死の国の王が死の世界へと送りこもうとしたら、ハンソン・アバディアが横やりを入れてきて、ナイトスフィアに来て悪魔に変身し自分に仕えるようにと勧誘するシーンがあって笑ったんですが、ナイトスフィアの悪魔たちって死者が生まれ変わって出来てたの!?地味に世界観の補足になってますね。

一番右が、27番目の死の世界の知事

 

あらすじを読むとずいぶん大変な状況のようですが、実際に読んでみるとギャグ寄りのテイストが楽しく、ATらしく予想のつかないストーリーが魅力のお話です。

Issue54~57 謎のATウエスタンの秘密!…の巻

どういうわけか、いきなり西部劇が始まっている。

フィンとジェイクは、カタツムリの愛馬を駆り、砂漠でおたずねものを捕まえていた。彼らは放浪の自警団なのだ。

レモンズ・フォリーの町にやってきたフィンたちは、町民からレモンを要求していた横暴なヘビのギャングを追っ払い、レモンホープ市長から感謝される。

しかし、初対面のはずなのに、なーんか、レモンホープ市長にたいして見覚えがあるフィン。前にどこかで会ったりしなかっただろうか…?

さて、ヘビのギャング団・ヒスボーイズを追って、隠れ家までたどり着いたフィンとジェイク。そこへ現れたのはヒスボーイズのボスである女!ボスが男でもヘビでもないことに驚くジェイクだが、彼女を見たフィンの反応はまた違った。「マーセリン?」 

見つめあうフィンとマーセリン。そして蘇るのは、ツリーハウスで過ごした記憶…!

「ぼくたちは…」

「友達だ!」

記憶が戻ったマーセリンは、どうして自分はヘビのギャング団なんかを率いているのかと不思議に思い、ヘビたちにさっさと解散を命じる。

ジェイクの記憶も復活し、自分を取り戻した3人はこの状況を不思議がる。どうもこれは現実ではない。自分たちは、なんでこんなところにいるのだろう??

どこに答えを探すべきか、フィンには心当たりがあった!3人は、砂漠のはじっこの壁を超えてみることにした。この向こうにあるのは、宇宙か、それとも世界の果てか…。

いよいよ壁を上った向こう側に見えたのは…超巨大なビーモだった!!めちゃくちゃに大きく、不動で立ちつくしている。いったいこれはなんなのだろう…。

近くにあった端末から、フィンはビーモに話しかける。

「ビーモ!」

「やあフィン! お話したかったのかな?

 エラー : この端末は×××(判読不能)…と呼ばれる存在の代表です…

怪しいエラーを伝える音声。ビーモではない何者かがビーモの中にいるようだ…!?

 

「ああ…そうだよ。ビーモ、君になにかが起こってるような気がしてたんだ。このカウボーイの世界はなんなんだい?」

「うるさくって乱暴なカウボーイは気に入らなかったの?ごめんなさいフィン。他のが気に入るかもしれないよ」

フィンたちがどうやらこの世界を気に入らないようだと思ったビーモは、カウボーイの世界を簡単に崩壊させてしまう!!

この不思議な西部劇の世界は、全てビーモによって用意された仮想空間だったのだ!!

フィンたちは「ビーモワールド」の中に閉じ込められており、この世界はビーモによって支配されている!

マーセリンはビーモによってドラキュラ映画の世界へと送り込まれてしまい、いっぽうフィンとジェイクはレモングラブたちが演ずる医療ドラマの病院へと迷い込む…。

2人は病院を脱出。ジェイクはキャンディ王国へとバブルガムを探しに行き、そしてフィンはビーモとの対話を試みようとする。

そしてこの事件の背後には、もう一体のロボット・ネプターの存在があった…。

いったいビーモに何が起こったのか!?

はたしてフィンたちはこの仮想世界を脱出して、元の世界に戻ってくることができるのだろうか?

 


 

これも面白かったですね!!

いきなり西部劇がスタートという導入に、なにこれは?と面食らっていると、やはりフィンたちが西部劇のロールプレイをやらされていたというのが真相であり、さらにビーモの支配する仮想空間に囚われていることが判明します。

牧歌的な西部劇の世界から一転、ビーモに支配された世界からの脱出を目指す狂気のホラーへと変貌するこの転換が見事…。

西部劇だけでなく、白黒のドラキュラ映画やアメコミ風ヒーローなど、おなじみのATキャラたちがジャンル映画の登場人物になりきっている異様な絵面が見ていて楽しいところだったりします。面白かったのでもっといろんな世界見てみたかったなぁ。4号で完結という尺がもったいなく思えるくらい。

そしてフィンとジェイクはさまざまな世界を次々と横断しながら、今回の事件を引き起こした闇の存在へと迫っていくことになります…。

で、今回感心したのが、ビーモそしてネプターに注目したストーリーであったこと!

この2体は、フィンやジェイクと一緒にツリーハウスのひとつ屋根の下に暮らす「家族」ではあるけれど、壊れやすいロボットであるビーモはフィンやジェイクと一緒に冒険には行くことはできないという友情で埋まらぬ溝があります。

さらにネプターのほうは造物主のフィンから存在を完全に忘れられてたり、ビーモと比べて明らかにフィンやジェイクからは大事にされてなかったりで、ネプター本人がフィンを思う気持ちとは裏腹に、ナチュラルに存在を無視されているという疎外感がアニメでも時折で描かれていましたが、今回の物語の背景にあるのは、そういうネプターが抱える疎外感や悲しみなんですね。本作は、これまでコミックでも、いやアニメにも存在しなかった不遇なネプターの悲しみに救いを与えようとする物語であるのが良かった…。

面白さもさることながら、本当に「アニメにもこういう話あってもいいな」と感じられる内容になっており、その意味でも強くおすすめしたい一編です。

Issue58~61 破壊神たちの復活、そして第2期堂々完結!…の巻

父ジョシュアがフィンのために作ったダンジョンを訪れていた主人公コンビ。

自分たちもダンジョンを築いてみれば、フィンとパパが時間を超えた繋がりを感じられるかもしれないとジェイクは思い付き、意気投合した2人はダンジョン作りをはじめることになった!

土地選びにあちこちへ行くが、しかし最適な場所がなかなか見つけられない。夜になり、最初の岩場に戻ってきてしまった。

と、そこには栓抜きのように穴の空いた岩が立っており、月の光が穴を通った瞬間、光はビームとなって岩場を破壊し、洞窟が出来上がった!

この不思議な洞窟にダンジョンを築くことを決めたフィンとジェイク。

さて洞窟をダンジョンらしく仕立てていくが、問題が発生する。ダンジョンには財宝があるべきと財宝を置くと、盗まれてしまうのだ!警備員やモンスターを設置してもうまくいかず、ならば魔法で宝物を奪えないようにしようと考えたフィン。

というわけで魔法使いの町を訪れたフィンとジェイクは、ダンジョン・マスター・ギルドを訪ねることになった。フィンから事情を聞いたギルドの魔法使いは、その土地は、強力な魔法の秘められた危険な場所だと教えるのだった…。

そのころ、さまざまな場所で運命が動き出していた。

ペパーミントバトラーの祭壇に燃え立つ予知の炎は、アークロサックと悪しき仲間たちの姿を映し出していた!

古の種族と危険な魔法にフィンが接触しつつあり、この先に自分たちはフィンを失う運命にあることを予感する。しかしバブルガムは、これは起こらなければならないことであるとして、フィンにこのままダンジョンを作らせることにする。そして、願わくばウー大陸もフィンも、ともに無事であらんことを…。

またいっぽうで、魔女ジャニスは懲りずにまたアークロサックの召喚を試みる。前回たまたま上手くいかなかっただけで、正しくやれば今度こそごちそうにありつけるだろうと甘く目論んでいる…。

さて、興味を持ったダンジョン・マスター・ギルドの魔法使いがフィンたちの洞窟を調べにやってくる。そして、洞窟の奥で発見したのは、三日月をかたどった人工的な建造物だった!

その壁には未知の文字や図が刻まれており、魔法使いはダンジョンの作り方に関連したものでないかと推測。すると、フィンが文字に触れた瞬間、彼に異変が生じる!

フィンは何かを悟ったように「すべてを理解した」と語りだした。ここに来ることはフィンの運命であり、ダンジョンの作り方を学ぶのが自分の目的だったのだと言うのだ!なんと全ては、ずっと以前から用意されていたというのだろうか…。

そして、ジャニスの召喚により、アークロサックがまたしてもウー大陸に降臨!邪悪な仲間たちを目覚めさせてゆく。

キャンディの化身アークロサック(Arklothac)、スライムの化身ング・ゾット・アー(Ng'Zot Aa)、炎の化身ゾン(Zon)…実は彼らは、四大元素の体現者だったのだ!!

そしてただ一人、彼らから裏切りものと呼ばれるのが氷の化身…。

フィンとジェイクも、悪しき強大な3体の復活を目撃!

戦いに向かおうとするフィンだが、そこへ謎の宇宙人が現れる。

どうやら味方であるらしいが、ヘルメットで顔を隠していて怪しい…。フィンが何者か問うても正体を明かそうとしない。

彼は、フィンにはウー大陸を救う役目があることを告げ、アークロサックたち3体を倒すべく、何をすればいいかを教えると言う。

そして、あの三日月の遺跡の奥へとフィンを案内するのだった…。

月に置かれていた守護者の剣。

フィンを導く不思議な宇宙人。

三日月の遺跡。

いまこそ全てが明かされる時!!

 


 

クリストファー・ヘイスティング氏脚本による第二期の完結編だけあって、じつに見事なフィナーレ!

特筆すべきは、ここに至るまでの周到な構成でしょう

これまで散りばめられていた謎のピースがかっちりはまっていく様は圧巻で、この伏線回収のすごさは、アニメ版のストーリーにもまったくひけを取らないレベルだと思う…。

いや、ほんとに、20号以上費やして描かれてきた様々の要素がラストに向かって一気に結びついていくので「これがここに繋がるのか!?」と驚くことしきりでした。これまで登場したアレやコレにも、ちゃんと意味があったんだとわかる無駄のない構成が素晴らしい。

最初のissue36-39の長編を読んだときはちょっとイマイチかなと思ったものでしたが、あれからここまで壮大で緻密なストーリーに繋がるとは思っていませんでしたねー…。

日本語未翻訳ということもあり、ここまで読破した人はあんまり多くないと思いますが、とってもエキサイティングなので、是非とも読んでみてほしいです。とはいえ、いきなりこの編だけ読んでも伏線回収の美は堪能できないので、やはりIssue36-60までの内容もしっかり読み終わってからこの完結編に手を伸ばしてほしい…!

そして、個人的に好きなのがラストシーン。最後の最後になって、あるキャラが再登場してくるんですけど、ちゃんと救済が用意されていたことに本当に安心しました。やっぱり製作者としても思い入れがあったんだろうなぁ…。

コミック版ATは、決してアニメ版の縮小生産やオマケなどではなく、独立したもうひとつの叙事詩であることを見事に証明した、と思います。面白かった!

 

 

さて、クリストファー・ヘイスティング氏による無印コミック版ATはここで終了。

Issue62以降は、一貫した脚本家のいない単発のシリーズが最終号まで続くのですが、それについてはまた次回の記事で紹介します。→その③(Issue62~74)