アドベンチャータイムの記念すべき最初の「シーズン1」。
しかし第一話から順番に見ていると、なんだか違和感があるのではないかと思います。
まず第一話は「恐怖のパジャマパーティー」だけど、なんかぜんぜんアニメの第一話っぽくないなあとか、「ツリートランクの冒険」で爆発四散したはずのツリートランクが、その後「恐怖のヴァンパイア・クイーン」の回で普通に再登場していて、あれっ?と不思議に思ったりしませんでしたでしょうか?
実は、シーズン1に関しては、製作者側が当初想定していたエピソード順と、実際に放送されたエピソード順とが異なっているらしい、という話があるんですね。
ウィキペディアにある英語のアドベンチャータイムのエピソードリストを見ると、各エピソードに「production code(Prod code) 」という制作上の管理番号が載っています。
例えば「恐怖のパジャマパーティー」は692-009です。
このproduction codeを昇順にしてシーズン1の全26話を並べ直してみましょう。
わかりやすく比較のため、実際のアメリカでの放送順も隣に記載してみたのが、以下の画像です。

このproduction code順が、製作者側がもともと想定していたシーズン1のエピソード順か、あるいはそれに近いカタチなんじゃないか?というわけです。
この順番だと、第一話は「教えの書」であり、実際に第一話として採用された「恐怖のパジャマパーティー」は、なんと9番目ということになりますね。
…で、何でさっきから「らしい」とか「なんじゃないか」といった曖昧な表現をしているかというと、製作スタッフ等の「シーズン1はproduction code順で見るのが本来的に正しい順番なんだよ」みたいな確たる証言はちょっと見つけられなかったからなんですよね…。
(以前、Twitterのほうで、「prod code順が本来のストーリー展開」と断じて紹介してしまって長々と訂正をしたのですが、今回のブログはその加筆版となります⋯)
すみません、今更ですが訂正します
— kurt555 (@Rorschach25) 2025年2月4日
以前「シーズン1に関しては、Production codeの順番に並べなおすと、自然で整合性がとれた本来のストーリー展開になるらしい」と説明した件、これは私の早とちりと誤認が含まれてました!
不確かなことを言ってすみません!https://t.co/nqYM0WksI4
⋯なので、飽くまでハッキリした確証はない推測…ということなんですが、でもそれなりに信憑性はあり、「現行のシーズン1の放送順は本来と違っていて、production code順がその本来の順番を(ある程度)反映している」と考えられます。
その理由を以下に書いてみます。
まず、アドベンチャータイムのストーリーボードは無料公開されているんですが、「教えの書(The Enchiridion!)」の初期稿を見ると、確かに「Episode1(第1話)」という表記があるのです。
本来「教えの書」が第1話になる予定だったことについては、間違いないと言えるでしょう。

また、最初に書いたように、「ツリートランクの冒険」で爆発したはずのツリートランクが、後に放送された「恐怖のヴァンパイア・クイーン」のパーティーシーンに映っているという明らかな齟齬があるわけなんですが、Prod code順では後者のエピソードのほうが先なので、この齟齬が発生しません。
ただ、じゃあProd code順が本来考えられていたエピソードの順番そのものかというと…どうもそうとはハッキリ言い切れないところがあります。
まず、アドベンチャータイムの放送が始まる前、2009年8月14日に、フレドレタースタジオのブログにはシーズン1のエピソードリストが公開されていました(製作途中で発表されたものなので、完成版と微妙にタイトルが違いますが、まあどれがどの話かはすぐわかりますね)。
記事中には「リストは production number順に並べられていますが、制作順や放送時の組み合わせを正確に反映しているわけではありません(While the list is sorted by production number, it’s an accurate reflection of neither the order of production nor how they’ll be paired for air. )」と但し書きがされています(実際、本放送の時はこのリストとまったく違った順番となったわけですが…)。
で、これをProd code順と比較してみると、002は元々「Brothers in Insomnia」というエピソードが予定されていたのがボツになり、代わりに「家のなかで大冒険」で穴埋めされていること、また、当初027だった「バブルガムの極秘指令(Ice King Has a Point)」が、欠番だった006の番号に当てはめられたことがわかります。
008も元々「Helmet of Thorogon」というエピソードの予定でしたが、これも没になり、代わりに「暗い橋の下で(Freak city)」に入れ替わっています。

つまり現行のprod code順はぜんぜん当初ではない、既にもろもろ変更を経ているんですね。
もちろん「ある程度は当初意図していた順番に近い」のだろうけど、「これこそ当初想定されていた本来の順番だ!」とは断言できない感じ…。
…で、さらに調べていたところ、FandomのATwikiに「List of episodes Intended Order」というページがあるのを見つけまして。
読んでみると、このリストは「制作スタッフが意図した順序でリスト化されている」との説明が!!
おお、まさにこれこそ自分が欲しかった情報じゃん!と喜んだのですが…
これ、この順番となる根拠がはっきり示されてなくて、ファンが自分の考えで並べてるだけなのか、それとも何か確たる根拠に基づいてるのか、ちょっと不明なんですよね!
ただ、情報自体は興味深いです。
このリストでは、「家の中で大冒険」と「バブルガムの極秘指令」は穴埋めとして追加製作された回だから、「番外編」として扱うとしています。
それ以外は、ほとんどProd code順と同じなのですが、いくつか違いがあって、prod codeでは004である「二人とも大好き」が、このリストでは14番目とずいぶん後半に配置されており、さらに008と007が入れ替えられています。

しかし、繰り返すように、どうしてそーなるのか、根拠が書かれてないのがもどかしいんですが…推測するに、たぶん製作順を考慮しているのかなと思っています。
公開されているストーリーボードに書かれている日付を調べてみると、004「二人とも大好き」のboad team finalが2009年6月12日。
007「ハートを奪われて」はそれより早い2月17日、009「恐怖のパジャマパーティー」も5月11日です。
つまり「二人とも大好き」はcodeこそ004と最初のほうだけど、ボードの完成および製作されたのは、おそらく007や009よりも後ということになると思われます。
こうした実際の製作順を反映した並べ方なのかな…と?
まあ色々ああだこうだ考えてみるよりも、シーズン1当時のスタッフの誰かが、「当初想定していたシーズン1の順番はこうだよ」と言ってくれるといいなあ、と思うところですね…。
それはそれとして、このProd code順自体は、現行の放送順よりも、しっくりくるストーリー展開だと思います。
ツリートランク関連の齟齬が無いのはもちろん、特にシーズン前半の情報の出し方が自然で、違和感がないと思うんです。
まず、第1話「教えの書」で、キャンディ王国とバブルガムを紹介、フィンのヒーローとしての目覚めを描くというふさわしい導入。
次は「家の中で大冒険」で、フィンとジェイクの暮らしているツリーハウスがどんな場所なのを視聴者に示しつつ、ビーモもさっそく登場という納得の流れ。
改めて実際の放送順を確認すると、ツリーハウスの登場って意外に遅い!6番目の「かわいいジグラー」までツリーハウスが出てこないので、やっぱり最初のうちにツリーハウスが登場しているほうが自然だと思えますね。
そして「恐怖のヴァンパイア・クイーン」「二人とも大好き」「アイスキングの花嫁」で、マーセリン・レディレイニコーン・アイスキングとメインキャラを紹介していく話が続く。
で、シーズンのラストを飾るのは「僕のおくびょう神」と「本当のヒーロー」であり、2話ともフィンのヒーローとしてのアイデンティティを問うストーリーで連なる流れ!アメリカ放送順ではシーズン1のラストは「金ぴか強盗あらわる」なんですが、やっぱり「本当のヒーロー」で終わるほうがふさわしいですよね。
というわけで、ATのシーズン1を既に見た人も、もういっぺん上記Prod code順で見直してみると、また違った印象で楽しめるのではないでしょうか。
「アドベンチャータイムもういっかい見直したいな〜」と思っている方がいたら、ここはひとつProd code順で見返してみるという楽しみ方をオススメします。
ちなみに、シーズン2以降どうなのか?というと、このProd code順でエピソードを並べ直しても、ストーリー展開が成り立たなくなります。
例えば、シーズン2の「Mortal Folly(愛は勝つ)」のcodeは1002-049ですが、ストーリー上の続きである「Mortal Recoil(本当に愛は勝つ?)」のcodeは3つ飛んで1002-052。Prod code順だと、ストーリーが明らかに繋がらないんですね。
シーズン1だけ、製作上や放送順の決定に関して、以降のシーズンとは異なる特殊な事情があったんじゃないかと思います。