アドベンチャータイムは、アニメーションを完成させるまでの設計図であるストーリーボードが、無料で公開されています。
以前にも、シーズン4の「悪い夢」のストーリーボードには「偉大な戦士であるフィンの父親がシタデルに投獄されていることを、ビリーが打ち明ける」…という完成版アニメではボツになった箇所が存在することを紹介しました。(↓)
今回は、ATのストーリーボードについて、完成版アニメとの相違点など興味深い事柄をいくつか紹介します。
- 2話Aパート『教えの書(The Enchiridion!)』
- 3話Aパート『アイスキングの花嫁(Prisoners of Love)』
- 5話Bパート『ブンブン山の思い出(Memories of Boom Boom Mountain)』
- 6話Bパート『恐怖のヴァンパイア・クイーン( Evicted!)』
- 7話Bパート『魔女の庭(The Witch's Garden)』
- 8話Bパート『僕のおくびょう神(Ocean of Fear)』
- 9話Aパート『結婚式パニック( When Wedding Bells Thaw)』
- 10話Aパート『おかしなナッツ公爵(The Duke)』
- 14話Aパート『恥ずかしの試練(Blood Under the Skin)』
- 15話Aパート『パパは魔王(It Came from the Nightosphere)』
- 16話Aパート『お話聞かせて(Storytelling)』
- 19話Aパート『忍者!(The Chamber of Frozen Blades)』
- 20話Bパート『ゴブリンの王様(The Silent King)』
- 22話Aパート『死の国へ行こう(Death in Bloom)』
- 22話Bパート『スーザン、君は誰?(Susan Strong)』
- 28話Bパート『必殺お仕置き人 (Hitman)』
- 30話Aパート『フィオナとケイク(Fiona and Cake)』
- 47話Aパート『火星の子どもたち(Sons of Mars)』
- 47話Bパート『やきもちプリンセス(Burning Low)』
- 52話Aパート『君を忘れない(Remember You)』
- 53話Aパート『フィンの願い(Finn the Human)』
- 54話Bパート『ジェイクの願い(Jake the Dog)』
- 57話Aパート『不思議なダンジョン(Mystery Dungeon)』
- 82話Bパート『ブリージー(Breezy)』
- 92話Bパート『歯を治そう(Dentist)』
- 108話Aパート『暗い雲の中から(The Dark Cloud)』
- 123話Bパート『キャンディのパワー(Jelly Beans Have Power)』
2話Aパート『教えの書(The Enchiridion!)』
「教えの書」回のストーリーボードは、2つのバージョンが公開されています。
"The Enchiridion" Storyboard V1.0 | PDF
"The Enchiridion" Storyboard | PDF
特に興味深いのは、初期のストーリーボード(V1.0)。完成版とかなりの違いが見受けられます。
・まず、最初に「EPISODE 01」と表記されているように、「恐怖のパジャマパーティー」ではなく、当初は「教えの書」がアドベンチャータイムの第一話になる予定だったんですね。
・ミノタウロスと教えの書の来歴がバブルガムの口から詳しく説明されています。「昔、勇敢なミノタウロスのヒーローがいて、彼は人々を救うのを好んでいた。その名は「mannish man(マニッシュマン)」。彼はヒーローたちの古代の知恵の書「Enchiridion(教えの書)」を持っていた。ヒロイズムの始まり以来、英雄から英雄へと受け継がれてきたこの本には、すべての「戦士の秘密」が含まれており、そしてその知識によって彼は多くの偉業を成し遂げ、たくさんの巨大な邪悪に打ち勝った。再び土地に繁栄が訪れたときには、マニッシュマンはヒーローとして年を取り過ぎており、彼はクラッグドア山の頂上へと登った。そして次なる偉大な戦士が、教えの書を求めにくるのを待っているのだ」…という設定が語られるはずでした。完成版ではこのあたりの説明をばっさりカットしたので、なんでミノタウロスが山の上で「教えの書」を守っているのかとか、よくよく考えると不明な点になっています。

・フィンが巨人の紙幣を盗むシーン、初期verでは、ジェイクを呑まれた悲憤からフィンが紙幣を引き裂いてしまい、地面の割れ目に落ちていった紙幣の破片を取ろうとして巨人も落ちていくというなかなかハードな展開になっていました。紙幣を巨人に返してあげるアニメ版は、だいぶマイルドになったんですね。
・ガチョウ店長(Choose Goose)がこの時点でジュース売り?として初登場する予定でした。

・性悪ノームを助けたら、ノームが婆さんを消していく…という展開は初期verには無く、助けたノームがフィンに有り金を全部よこせ!おまえの目玉を食ってやる!と脅迫してくる展開でした。これはこれでなかなか物騒…。
・フィンたちがクラッグドア山の頂上に行くまでの過程が異なります。初期verでは、木の洞に巨大コウモリがいて、足にノームの三角帽子が突き刺さって痛がっていたので抜いてやります。そしてフィンたちは助けたコウモリに乗せてもらって飛び立ち、他の試練をすっとばして石や矢で攻撃される妨害をうけながらも、なんとか頂上に到着する…という展開でした。
・最後の試練では、邪悪な男から「邪悪な軍団にダークプリンスとして仲間に加わることができる、ウーの王国中に混乱と恐怖を拡大させよう」…と誘惑されますが、フィンはキック一発で倒して、試練クリア。心臓型モンスターやアリは登場しませんでした。
・試練を終えたところで終わりではなく、初期verでは、その後キャンディ王国に帰還することになっていました。教えの書を受け取ると、ミノタウロスから「バブルガムにいい印象を与えたいなら、5章を開いてみな」と言われ、めくってみるとそこには「プリンセスに本当に優しくする方法」が!フィンとジェイクとミノタウロスは一緒にキャンディ王国に帰り、フィンは「教えの書」の記述とおりに、バブルガムの顔と髪をホメると、バブルガムからキスしてもらえて大感激!ジェイクが鐘楼にゴーストがいると言ってるのにフィンは放心状態で固まってしまい、「もう一回キスしたら治るかもよ」といった途端にフィンは鐘楼に向かってダッシュ。ジェイクが「いま、なんの時間?」と言って、バブルガムが「ティータイム?」と答えると、鐘楼でゴーストと戦っているフィンが「アドベンチャータイム!」と叫び、タイトルロゴが回転してきて終わりでした。
・このように初期のストーリーボード(V1.0)だと話がかなり長め!おそらく30分アニメとして構想されてたんでしょう。10分内に収めるためイベントを刈り込んでいったことがわかります。
3話Aパート『アイスキングの花嫁(Prisoners of Love)』
・この回、フィン達が自分のアイス王国に侵入してきたことにアイスキングが怒ると、フィンが「僕らの目の前にいるやつはマグマなみにアツアツだ」と言いますが、オリジナルだと「自分たちの庭に大きな溶岩男(lava man)が寝ていて暑いんだよ」と言っています。

この「溶岩男」とは何かと言うと、「アイスキングの花嫁」のストーリーボードの初期稿を見てみるとわかるのですが、実は「ツリーハウスの近くに灼熱の溶岩男がやってきて昼寝をはじめてしまい、暑さに耐えかねたフィンとジェイクが涼むためにアイス王国に行く」というのが当初予定されていた展開でした。
フィンが「溶岩男が~」と言っているのは、その名残だったワケです。

・ラストシーンも完成版アニメと違いがあります。アイスキングから救い出したプリンセスたちをジェイクにのせて連れ帰ると、雪が降りはじめ、暑がっていた虫や動物たちが大喜び!あの溶岩男も、自分の体に雪の粒が当たるのを嬉しがり、アイスキング以外はみんなハッピーというオチになる予定でした。

5話Bパート『ブンブン山の思い出(Memories of Boom Boom Mountain)』
・この回は、問題を解決した後に「ジェイクがイルカに懐かれて困る」というオチですが、ストーリーボードでは違う内容が描かれています。
ブンブン山の問題を解決すると、冒頭に出てきたビールサーバーに使われているイカが話しかけてきて、「自分の不満を皆に言いたくなかったけど、今はみんな幸せそうだから聞いてもらえる気がする。私のインク袋を圧迫しないでください。恥ずかしいんです」とカミングアウト。
フィンとジェイクはそれを聞いて無言でイカからインクを絞り出し、それをイカ自身に飲ませ、自分のスミを飲んだイカは「自分っておいしい!」と喜んで、めでたしめでたしというオチになる予定でした。

なんでこのオチが変更されたのか想像すると、お酒をおいしそうに飲む描写がダメだったのではないかと思います。まあ厳密にはイカスミであってお酒ではないんだろうけども、視聴者に飲酒を想起させてしまう描写がよろしくないと判断されたのではないでしょうか。
6話Bパート『恐怖のヴァンパイア・クイーン( Evicted!)』
・後半の展開にかなり違いがあります。マーセリンからツリーハウスを追い出されたフィンとジェイクが、新しい家を求めて各地を回るのは同じですが、フィンたちは最後にたどりついた洞窟で巨大なイカと出会います。

イカはフィンとジェイクを捕まえて家はどこなのかと問い、二人からツリーハウスのことを聞かされて感心します。しかし、フィンたちがヴァンパイアに家を追い出されたことを知ると、イカも自分自身の過去を語りだします。「自分はまだ子供のころに家出をした、何人かの男たちと乗り合わせて、世界を見て回りたいと思っていた。長い間、友達にも親にも合っていない。妻にも子供にも。取り返しのつかないことを言ったので帰れない」と悲しい過去を打ち明けます。フィンが「許してくれるよ、君が彼らを恋しいのと同じくらい彼らも君が恋しいはず、大切な人がいなきゃ家は家じゃないんだ!」と励ますと、感動したイカは洞窟をフィンたちに譲って故郷へと帰っていく…という展開でした。
・フィンたちが見つけた新しい家(洞窟)でパーティーを開くシーンで、パーティー客にFire Maidenなる火をまとった水着姿の鳥人が登場する予定でした。インパクト大の外見で面白いんですけど、見た目がアダルト過ぎてアウトだったんでしょうか…。

・洞窟でパーティーに興じていたら、またマーセリンがやってきて、洞窟の所有権を主張し始めるのは同じなのですが、ストーリーボードだとフィンたちがマーセリンと対決するシーンがありませんでした。僕たちの家を二度も奪うのか!とフィンが怒るとマーセリンからは「あんた、望むならアタシの木に住んでもいいよ」と、あっさりツリーハウスを返してくれる申し出が。ジェイクからも「ヴァンパイアとは戦えねえよ」となだめられ、フィンたちはあっさり洞窟から出てツリーハウスに帰還。やったあ!…と思っていたら、ツリーハウスにはマーセリンがいなくなった代わりにウェアウルフの男が暮らしていて部屋を散らかし放題にしており、彼いわく、マーセリンから数日ここに泊まっていいと言われたとのこと。フィンとジェイクは顔をみあわせて「やれやれ」という仕草をし、ウェアウルフは「せいぜい数週間だよ」と言ってフィンとジェイクを抱き寄せて終わり…でした。
これはこれでオチはついていますが、少々パンチが足りない感はあり、完成版のマーセリンとのバトル→イモムシキング洗脳エンドのほうがインパクト絶大で、ATらしくて良いと思いますね。

7話Bパート『魔女の庭(The Witch's Garden)』
・この回もラストシーンに大きな違いがあり、ストーリーボードでは、ジェイクの恥ずかしい姿が魔女によって動画サイトにアップロードされてみんなの笑いものになり、一人まじめな顔で動画を見ていたレディレイニコーンが「So hot(セクシーだわ)」と韓国語で呟いて終わり…というオチの予定でした。

8話Bパート『僕のおくびょう神(Ocean of Fear)』
・フィンのヘソの穴から出現するおくびょう神(Fear feaster)が、ストーリーボードでは、なんとフィンの尻の穴から出ていました。

・最後に三賢者が現れて「弱点があってこそヒーローなのだ」とフィンに語りかけますが、ストーリーボードでは「弱点のあるヒーロー」の具体例を三賢人が語る予定でした。Dunn(?)の軍団を一撃でふっとばした偉大なるシュロモは狭いところが怖かった、十分間で海蛇70匹の頭蓋骨を叩き割ったマグダールは広い場所が怖かった、名高き長剣を持った伝説の素晴らしきアレクサンダーは女性との交際が怖かった…という弱点を持った三人のヒーローが紹介される予定だったんですね。
ここで語られるそれぞれのヒーローはキャラが立っててなかなか印象的なので、採用されなかったのは残念です。

9話Aパート『結婚式パニック( When Wedding Bells Thaw)』
結婚すると言っていたのに結婚意欲がなくなってきたアイスキングをフィンがとりなす場面で、完成版ではカットされたシーンがあります。
フィンが「結婚は最高だよ、だって奥さんはタマゴを産むし、あんたとも踊ってくれるよ…」と言って機嫌をとろうとしたら、アイスキングは「だからなんじゃ?ワシは踊るペンギンのタマゴを産めるんじゃぞ!」と言い放って本当にペンギンの卵を産み落としてしまうというトンデモ展開が入る予定でした。

10話Aパート『おかしなナッツ公爵(The Duke)』
・バブルガムからあんなに憎まれてるからにはナッツ公爵ってよほど悪い奴なんだろう…とナッツ公爵の悪行を妄想するシーンが長い尺をとって描かれる予定でした。ナッツドラゴンの火球でキャンディ王国を攻撃する、銀行強盗をする、人を崖から突き落とす・巨人と化して押しつぶす…などなど。妄想ナッツ侯爵の悪すぎる顔が味わい深く、カットされたのがもったいないです。

・ナッツ公爵夫人が、公爵の人となりを語るシーンも、完成版と違いがあります。ナッツ公爵は慈善で献血をするいい人で、献血した血(ピーナッツバター)をまた金で買い戻しては、食べて自分の体に戻す、恵まれないナッツたちにダンスを教えている…といったエピソードが公爵夫人から語られる予定でした。

14話Aパート『恥ずかしの試練(Blood Under the Skin)』
・ゼルダロンの鎧のデザインがストーリーボードでは異なっており、乳首にトゲトゲの鉄球が鎖で取り付けられているという、なんともモノ凄い見た目になっていました。

・ストーリーボードだと、球拾いゲーム中毒のゴーストの見た目がかなり人間風です。
・また、ラストシーンも異なっており、ストーリーボード時点では、ガチョウ店長のほうが球拾いゲーム中毒になってしまう…というオチでした。これは確かに余計な感はあり、スパっと終わる完成版のほうが良いと思います。

15話Aパート『パパは魔王(It Came from the Nightosphere)』
・ストーリーボードだとハンソン・アバディアの髪型が七三分けになっています!(だいぶ若そうに見えますね)。

16話Aパート『お話聞かせて(Storytelling)』
・完成版とは後半の展開が大きく異なります。
ストーリーボードだと、ジェイクの病気は、じつは「仮病」!
ジェイクはママゴトみたいなことがやりたくて、でもそれをフィンに見られたくないから「お話を作ってきてくれ」とフィンを外に行かせていた、という裏があったんですね。

で、家に帰ったフィンはジェイクに騙されていたことを怒りますが、フィンの体から変なニオイがするのをジェイクが嗅ぎつけます。実はフィンが森の住人に囚われたときの「檻」が「動物の糞」で作られていたことが発覚!こんどはフィンのほうがゲロを吐いて病気になってしまう…というオチでした。
19話Aパート『忍者!(The Chamber of Frozen Blades)』
・この回はラストは、ガンターが産んだ卵から子ネコ(kitten)が孵るというオチですが、実はストーリーボードでは「アイスキングの顔をしたペンギン(つまりアイスキングとガンターの子!)」が誕生するという衝撃の展開でした(ヤバ過ぎるだろ!!)。

なお、Adam muto氏が語ったところでは、もともと卵から孵るのは子ネコになる予定で、ところが脚本に参加していたThurop Van Orman氏が途中からガンターとアイスキングの子が誕生するという案を出してきたので、このようにストーリーボードを描いてみたものの、結局カートゥーンネットワークから却下されたそうです。それで卵から孵るのは当初の構想通り子ネコということになったそうなんですね(良かったような残念なような…)。
卵から誕生するのがアイスキングとガンターの子供という展開を採用してたら、その後のストーリーはどうなっていたんでしょうね??
20話Bパート『ゴブリンの王様(The Silent King)』
・このエピソード、フィンとジェイクがザギオックを既に追い詰めた場面からいきなりスタートするので、違和感を持った人も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、ストーリーボードに存在していた導入部が完成したアニメではカットされています。もともと、このエピソードは「冒頭に現在のジェイクが出てきて、コブリン王国で起こった出来事を回想で語りだし、そしてラストにまた現在のジェイクに戻ってくる」という、「未来→過去→未来」と時系列が前後する構成だったんですね。シーズン5の「ジェイムズ」みたいな構成だったわけです。
・まず最初は、フィンが玉座で何か不満そうな顔を浮かべているシーンが映り、「人の子フィンについてお話しよう。彼が何か問題を抱えているのがわかるかい?」…とジェイクが語りだす展開になっていました。

語りは続き、「皆はこう言うだろう。 ”彼はクリロン湖の泣き叫ぶバンシーシャークを釣り上げた男じゃないの?”と。そして”そうだ!"ゲロ吐き低地のインフルエンザビースト”をやっつけたんじゃなかったっけ”と。そして俺様は”ああ、その通りだよ..”と言う。だが少し待ってほしい、なぜならその後、彼はゴブリンの王ザギオックに対処した後、「くそくらえ」って状態になってしまったのだ…。フィンの嫌な時期の話をしよう」…というジェイクによる長い前置きのあと、アニメ冒頭のザギオックとフィンたちが戦っているシーンに繋がる予定でした。

(↑ストーリーボードのみの没クリーチャー、Flubeast of nausea lowlandsのデザインが強烈過ぎる…)
・完成版では、ジェイクスーツ状態のフィン&ジェイクが再びザギオックを倒して終わりですが、ストーリーボードでは続きが描かれており、冒頭と同じく未来視点のジェイクが再び現れて「こうしてフィンの嫌な時期は終わった。ゴブリンの新しい王は、繁栄と幸福で何年も統治した。フィンと俺様は家に帰り、物語は終わった」…と語りを締めくくって終了でした。
・また、フィンがゴブリンの新王になり、ガミーからゴブリン王国の規則書を朗読を聞かされるシーンで、ストーリーボードの時点では規則書が定められた経緯について「マッシュルーム戦争の混乱による余波によって発生した自転車盗難に対する組織的な対応を求めるエルダー・ゴルフロックの度重なる要求に応じて~」という説明がありました。この時点でマッシュルーム戦争について言及される予定だったんですね。
ただ、じゃあマッシュルーム戦争の頃(1000年前のマーセリンが子供だったような時期?)に、ゴブリン王国は既に存在していたの?ということになりますが…それはやっぱりどうも違和感がありますよね。だからこの説明は完成版のアニメでは結局削除されたようです。
22話Aパート『死の国へ行こう(Death in Bloom)』
・ストーリーボードを見ると、死の国の王のデザインが普通のおっさん姿で描かれているパートがあります!人型のデザインだとあんまり面白くないから「馬のガイコツ」に変えたのでしょうか。

22話Bパート『スーザン、君は誰?(Susan Strong)』
・フィンたちは金属のハッチを開けて地下にいるフィッシュピープルを発見しますが、実はストーリーボードの時点だとこのハッチには「BIOHAZARD DANGER(危険 生物災害)」という警告がチラっと映る予定でした。 つまり、フィッシュピープルたちは何かの事故か実験で誕生したミュータントであり、危険視した何者かにあの地下に閉じ込められていたという設定だったようです。

28話Bパート『必殺お仕置き人 (Hitman)』
・ブレックファーストプリンセスのデザインが完成版と違っています!完成版でかわいらしくベーコンの髪飾りを追加したのはナイスアイデアでしょう。
・また、ストーリーボードの時点ではBPとアイスキングが会話しているんですけど、完成版だとBPはアイスキングとは一切口を利かずにフィンにさっさと通報するという違いがあります。アイスキングの犯罪的行動に慌てず喚かず、無言で毅然として対処するBPが頼もしく見えるし、この点でも完成版のほうが良いと思いますね。

・依頼を終えたスコーチャーが残していく紙も、ストーリーボードだと本当にただの領収書として描かれています(スマイルマークがかわいい)。
ただの領収書ではあまり面白くないと思って、完成版では「Echos of past eventsnudge the tiller on~」の文章に変えたのでしょうか。

・また、ラストはアイスキングが凍ったフィンとジェイクの上に腰かけて「ワシの尻にしかれてろ」と言って終わりなのですが、ストーリーボードだと、冒頭に出てきた媚薬「愛のハチミツ」をフィンとジェイクにぶっかけて終わりという絶妙にキモいオチになっていました(個人的にこのオチのほうがキモくて好き)。

30話Aパート『フィオナとケイク(Fiona and Cake)』
・ガムボールがお花畑に飛び込んでフィオナがその後を追い、しばらくして2人一緒に出てくる…というシーンがありますが、ストーリーボードを見ると元々はここで2人が花畑の地下にあるダンジョンに落っこちるという流れでした。この地下ダンジョンで「鉄の処女」を使って「ローマの休日ごっこ」をしてふざけたり、ガムボールがピグミーの真珠の頭蓋骨を見つけるシーンに繋がっていました。花畑でピグミーの頭骨が出てくるのがどうもヘンだな?と思っていたのですが、本来は地下のダンジョンで見つける予定だったんですね。

・また、ストーリーボードの時点では、花畑から落っこちた後、ガムボールがフィオナを抱っこするシーンの予定だったのが、完成版では逆になっていて、フィオナがガムボールを抱っこしているという違いがあります。ガムボールがフィオナをお姫様抱っこするのでは、男女の描写として保守的で、ATらしくないから変えたんじゃないかなと思います。
47話Aパート『火星の子どもたち(Sons of Mars)』
・火星の王リンカーンが、ジェイクを生き返らせるため、自らの永遠の命を死の国の王へと差し出すシーンがありますが、ストーリーボード時点では、「リンカーンがフォード劇場に送り込まれる」という描写がありました。

47話Bパート『やきもちプリンセス(Burning Low)』
・ジェイクが男女の交際を階段に例えてフィンに説明する有名な(?)シーン。
「1段目はハグ、2段目はキス、5段目は彼女がきれいなお腹を見せてくれたりする、8段目で彼女がツノを初めて触らせてくれる…でも最後の15段目は絶対するな!」とジェイクはフィンにキツく禁じますが、実は、ストーリーボードには完成版では削除された「9段目」の説明が存在していました。
9段目のことを、「それについては、次の日に快適な座る場所を確保するんだ」「自分のことを振り返る時間が必要だ…」と深刻な顔で語るジェイクが描かれています。
「ソレ」の後には、心地よく座れる場所と、自分を振り返る時間が必要とは一体どういうことなのか…?
9段目でこれなら、15段目はよほどヤバいプレイなのではという気がします…。

52話Aパート『君を忘れない(Remember You)』
・ラストの、幼い頃のマーセリンとサイモンの出会いのシーンで、ストーリーボードには「二人は顔見知りである(They know each other)」と、気になることが書かれています。
ということはマーセリンとサイモンは以前面識があったのでしょうか?
その後のサイモンとマーセリン関係のエピソードを見る限りそれらしい示唆はなく、結局「ボツ設定」となっている気はしますが…。

53話Aパート『フィンの願い(Finn the Human)』
・「フィンの願い」のストーリーボードを見ると、ファームワールドのフィン父のデザインが全然違います(詳しいところは、次の「ジェイクの願い」の項目で)。
・また、1000年前の出来事を老婆マーセリンが回想する際、爆弾を氷で停止させたときのサイモンの姿が、ストーリーボードではすでにアイスキング化しています。マッシュルーム爆弾投下時点でサイモンが既にアイスキング化していたことになると、後の「サイモンとマーシー」でのサイモンの姿と矛盾するから変更されたのではないかと思います。

54話Bパート『ジェイクの願い(Jake the Dog)』
・ファームワールドのフィン父の姿がストーリーボードでは全然違っているのですが、今回はそれがより詳しくわかります。あの「マーティン」とは似ても似つかない痩せた若そうな外見です。
このボードを描いているのがレベッカ・シュガー氏ということもあり、すごい「スティーブン・ユニバース」のキャラっぽいデザインになってますね。
この時点ではフィンの父親像として「マーティン」がまだ構想されていなかったんだろうなと思います…。

57話Aパート『不思議なダンジョン(Mystery Dungeon)』
・レモングラブからあんたはどんな味なのかと訊かれたアイスキングが、手をしゃぶってる自分を回想して「このままじゃマズい」と答えるシーンがありますが、原語だとアイスキングは「寂しい感じ(Kinda lonely)」と答えています。
「寂しい」ってなにが寂しいのかと言えば、ストーリーボードを見るとわかります。
実はここ、ストーリーボードの時点ではアイスキングが自分の手を女性の顔に見立てて「アイスキング、あなたって経験豊富ね~♡」とか言いながらキスの1人芝居をして孤独を慰めているという、なかなか気持ち悪いシーンになる予定だったんですね(ちなみに、味についても、ストーリーボードでは「寂しい感じ」ではなく「しょっぱい(salty)」だった)。

・また、巨大モンスターに捕らえられたレモングラブがジュースを噴出させる時、「これは僕のせいじゃないよ、マミー!!」と叫び、アイスキングが「マミー?あいつ何を言っとるんじゃ?」といぶかしむという、意味深なシーンがありました。
レモングラブのママって…やっぱりバブルガムですよねえ…?

82話Bパート『ブリージー(Breezy)』
・冒頭、フィンにデートに誘われても「患者とは付き合わない」ときっぱり断っていたドクタープリンセスでしたが、ストーリーボードの時点では、その後フィンとドクタープリンセスがキスするシーンが入る予定でした。

92話Bパート『歯を治そう(Dentist)』
・ストーリーボードでは、食堂のシーンでツリートランクの元夫・ワイアットが登場する予定でした。穴に落ちてここにたどり着いたワイアットが、「(歯に)ベニアを貼ってもらうんだ!」「30 歳になった気分だ!」と楽しそうな様子でフィンに話しかけるも、フィンのほうはワイアットを相手にしないでスルーという流れだったようです。
まあ、あえなく出演シーンが削除されたっていうのが、いかにも不遇なワイアットらしいですよね、なんだか…。

・なお、この回はフィンが「アリ」に自分の虫歯を治療してもらう見返りに、アリと敵対する「ハエ」の手下「ミミズモンスター」と戦うことになる…という物語ですが、ミミズを雇っているというハエの事がほとんどわからず、そのハエもラストに少し姿を見せるだけという謎めいた奇怪な話になっています。
ところが実はもともとアリとハエの因縁を映画で説明するシーンが予定されており、ボード製作者のSteave Wolfhard氏がボツになったそのパートを公開しています。
働き者のアリと遊んでばかりのハエがいて、アリは一生懸命働いたのに、冬越えの食料をハエの唾液で駄目にされて大勢が死ぬハメになり、それでアリはハエと戦うことになった、という「アリとキリギリスのパロディ」的な背景があったんですね。
108話Aパート『暗い雲の中から(The Dark Cloud)』
・巨大なライオンの雲と戦うため、キャンディピープルたちが武器を持って出撃する場面で、ストーリーボードでは、自分も戦いに出て行こうとするダードビアをチェリークリームソーダが阻止するというシーンが描かれていました。
ダートビアとチェリークリームソーダたちがその後もちゃんと一緒に暮らしていることが描かれている貴重な描写なので、採用されなかったのは残念です…。

123話Bパート『キャンディのパワー(Jelly Beans Have Power)』
・バブルガムがジェリービーンズ射出能力を覚醒させる夢のなかで、昼間スライムプリンセスに自慢された時の様子がヘンテコな形で再現されているのをPBが上から眺めているというシーンがストーリーボードにはありました。
夢のなかのスライムプリンセスの変な顔が強烈で笑えます。

・また、元素の女がバブルガムについて「semi-hermit(半分、隠遁者)」というメモを貼っていますが、ストーリーボードでは「not into boys?(男の子に興味なし?)」と書かれていました。
今となっては別に違和感もありませんが、この時点ではバブルガムの性指向の話題はまずかったのでしょうか。
