- はじめに
- 9話Bパート『暗い橋の下で(Freak City)』
- 21話Bパート『ゲームに夢中(Guardians of Sunshine)』
- 34話Aパート『君の悲鳴が聞こえない(No One Can Hear You)』
- 36話Bパート『素敵なクリスマス その2(Holly Jolly Secrets Part II)』
- 38話Aパート『僕流で行こう(Another Way)』
- 39話Bパート『ジョシュアの迷宮(Dad’s Dungeon)』
- 40話Bパート『二人のために世界はあるの(Dream of Love)』
- 59話Aパート『あいつは鳥男(The Great Bird Man)』
- 62話Aパート『パーティー荒らし(Princess Potluck)』
- 62話Bパート『ジェームズ・バクスター(James Baxter the Horse)』
- 64話Aパート『彼女は島女(The Party’s Over, Isla de Señorita)』
- 64話Bパート『続々・5つの物語 Another Five Short Graybles』
- 66話Aパート『無敵のジェイクスーツ(Jake Suit)』
- 66話Bパート『ビーモのルーツ(Be More)』
- 67話Aパート『夢のお告げ(Frost & Fire)』
- 67話Bパート『空の魔女(Sky Witch)』
- 72話Aパート『僕らの車(We Fixed a Truck)』
- 72話Bパート『ツリートランクの結婚式(Apple Wedding)』
- 74話Bパート『ルートビアの推理日記(Root Beer Guy)』
- 75話Aパート『レモンホープの旅立ち(Lemonhope Part One)』
- 75話Bパート『レモンホープの帰郷(Lemonhope Part Two)』
- 78話Bパート「あの頃に戻りたい(Bad Timing)」
- 79話Aパート『目覚めのとき(Wake Up)』
- 79話Bパート『シタデル(Escape from the Citadel)』
- 81話Bパート『マーセリン&ランピー(Princess Day)』
- まとめ
はじめに
アドベンチャータイムは世界各国で放送された作品ですが、その地域の放送局のおそらく自主規制で一部のシーンに削除や修正が行われたりしています。日本のカートゥーンネットワークで放送されたバージョンもその例外ではありません。
そこで、このページでは日本放送版で変更されたシーンについて、私が知り得る限りで列挙してみようと思います。
比較元は、スカパーの「海外アニメ!カートゥーンネットワーク」で放送された日本版と、Madman Entertainmentより発売された『Adventure Time: The Complete Collection (Blu-ray)』に収録されているノーカット版です。
なお、この記事で扱うのは場面の映像がまるっきりカットされているといった、視覚的にわかる変更です。オリジナル版と日本版の差異についていえば、翻訳も日本語に訳すにあたって、意味を変更している部分(『ヒットマン』→『お仕置き人』、『シアン化物入りのガム』→『特別なガム』とか)は多々ありますが、そういった視覚的変化が生じていない言葉だけの修正・変更は取り上げません。
※まだまだチェックできていないエピソードが多いです。他にも修正点を発見したら、追記していく予定です。
9話Bパート『暗い橋の下で(Freak City)』
マジックマンの登場&退場時の点滅シーンが、日本版では画面全体が暗くなるよう修正されています。これは視聴者に光過敏性発作が起こるのを防ぐための処置だと思われます。
21話Bパート『ゲームに夢中(Guardians of Sunshine)』
・ゲームキャラたちが現実世界の太陽の光を浴びるシーンで画面が点滅しますが、日本版では減光処理されています。
34話Aパート『君の悲鳴が聞こえない(No One Can Hear You)』
・寝ているジェイクの耳から虫が一匹出てきて、さらにその後大量に虫が出てくるシーンがあるのですが、日本版では虫がきれいさっぱり消されています。この時に鳴っている「グチョグチョグチョ…」みたいな効果音は日本版でも残っていますが、これは虫が動いている音です。
36話Bパート『素敵なクリスマス その2(Holly Jolly Secrets Part II)』
・ビーモがアイスキングの「涙の暗号」を解読する場面で、北米版では「いま見ているのはアドベンチャータイムクリスマススペシャルです」というポップアップが画面下から突然出てくるのですが、日本版には出てきません。これはカートゥーンネットワークが放送する時に入れたものではなく、アニメーションが製作された時点で既に描かれていた「作品の一部」であるようです。
つまり、「この番組はクリスマススペシャルですよ」というただの表示ではなく、そういう表示を模して描かれたパロディ・ギャグということらしいのですが…ギャグとしては、その意図がすんなりと伝わりにくいように感じます(パロディならパロディともっとわかるように描いたほうが良い気がしますし…)。
そういうわかりにくさもあって、日本を含む他国で放送するバージョンではこのポップアップの演出は不要と判断されて消されているんじゃないかと思います。
38話Aパート『僕流で行こう(Another Way)』
・フィンがピエロナースのことを思い浮かべるシーンの度に画面が点滅しますが、日本版では減光処理されています。
39話Bパート『ジョシュアの迷宮(Dad’s Dungeon)』
・ハンバーガーモンスターをフィンが蹴りとばすシーンで画面が点滅しますが、日本版では減光処理されています。
40話Bパート『二人のために世界はあるの(Dream of Love)』
バブルガムとシナモンパンがコンサートから撤収するシーンで、日本版はジェイクの足元にカタツムリが追加されています。
59話Aパート『あいつは鳥男(The Great Bird Man)』
・ザギオックが雛鳥たちに食事を与えるときに、自分の乳首を雛鳥たちに吸わせていてフィンとジェイクがドン引きするシーンがあったのですが、日本版ではカットされています。日本版だとザギオックが「赤ん坊たちが鳴いてるぞー、まんまの時間だ」と言ったと思ったら、鳥たちに食事をさせた様子もなく一瞬で「じゃあまた後で」と言い残して去っていくので、ストーリーの流れが不自然になっています。しかしこれはこれで「超高速で食事を終わらせた」というギャグみたいに見えなくもないですね。
・ラスト、ザギオックが自分の目玉をフィンたちに渡すシーンで、目玉をズルっと引き抜く描写が日本版ではカット。
62話Aパート『パーティー荒らし(Princess Potluck)』
冒頭、フカフカハウスから「中に入りたい?少し跳ね回っていく?」と誘われるものの、フィンが「いや、いいよ…」と照れて断ってしまうシーンがカット。
まあ、これって「私の"ナカ"に入っていかない?」的な下ネタですよね…?
62話Bパート『ジェームズ・バクスター(James Baxter the Horse)』
・冒頭、ビーモが卵を持って楽しそうに歌っていたら、蝶がぶつかってきて卵が割れてしまうという一連の流れがカット。日本版だと、いきなりビーモが泣いている場面から始まります。
カットされたこの歌、いつものビーモのごっこ遊びなんですが、処女懐胎的なロボットの妊娠という事象を題材にした歌で、なんだかエロくてミステリアスです…。
(ビーモの歌の歌詞全文はこちら↓)
64話Aパート『彼女は島女(The Party’s Over, Isla de Señorita)』
・冒頭、アイスキングがバブルガムを誘拐しようと寝室に忍び込み、テープでバブルガムの口を塞いでいたらバブルガムが目覚めて大騒ぎ…というくだりがカット。日本版は、バブルガムが既に目覚めたところから話がスタートしています。
64話Bパート『続々・5つの物語 Another Five Short Graybles』
人形が壊れたことに激怒したレモングラブ(黒)が、レモングラブ(白)を飲み込んでしまう場面がカット。『レモンホープ(Too Old)』でレモングラブ(白)が再登場した時、顔が大きく欠けてたのはここで食われたからなんですね。
66話Aパート『無敵のジェイクスーツ(Jake Suit)』
・冒頭のジェイクスーツ大暴れから解放されて疲れ果てたジェイクが、ソファーに横たわって腰をさすりながら「俺さまの『ドギーバッグ』を手ひどく傷つけたじゃねえか」てなことを喋る部分がカット。なんでこれがカットされたのかちょっとわからないのですが、やっぱり性的なニュアンスがあるんでしょうか。
・ラスト、ピエロナースがキスのジェスチャーをするシーンもカット。
66話Bパート『ビーモのルーツ(Be More)』
ビーモがSMOの1体をハッキングしている時、他のSMOが「おい、2人とも何をアホやってんだよ。ふざけてんのか?」みたいなこと言うシーンがカット。
67話Aパート『夢のお告げ(Frost & Fire)』
・冒頭、フィンとフレイムPがデートしている時、アイスキングが「お二人さん、お部屋をとったほうがいいんじゃないかの?」とからかってくるシーンがカット。
・さらにアイスキングが「妙なヤツじゃ、フィンの代わりに丸太をハグとしとるわ」とフレイムPをからかってきた時、フィンが丸太を持ったフレイムPのほうを振り返る動作がカット(日本版はこのあたりのフィンの動きが不自然なのがわかるはずです)。
・フレイムPがアイスキングの下着を燃やすシーンがカット。
・フィンが夢の中でフレイムに下半身を焼かれて気持ちよくなっちゃうシーンも、本来は喜悦の声をあげたりと結構アブナイ感じでしたが、そこはカットされています。
・夢から目が覚めたフィンが、ジェイクに話しかけようと調理台に勢いよく突っ込んでくるシーンがカット。
・不意打ちによってフレイムプリンセスに余裕の勝利を収めたアイスキングが、服をまくって「ワシの新しい耐火用下着をテストすることもできんかったわ」と見せつけてくるシーンがカット。
・アイスキングが飛び去って行くシーンも、本来は下着がパンチラしたまま飛んでいたのですが、日本版は映らないようカットされてます(手前にいたアイスキングが一瞬で遠くにワープするような動作に)。
・後半、フレイムPとアイスキングの激闘のさなかにフィンが見た夢も、日本版はほとんどカットされてしまっていて、どんな夢だったのかが全くわかりません。
フィンは夢の中でベッドに寝ていると、フレイムPがやってきてフィンの股間に着火。炎が気持ちよくて喜ぶフィンだが、どんどん熱が強くなり、ふと見ればフレイムPは怖い姿に変化。フレイムPはフィンを焼き尽くすと、フィンは体型は赤ちゃんなのに外見はおっさんの醜い赤ちゃんオヤジに変わってしまう!ドン引きしたフレイムPは去っていき、残された赤ちゃんオヤジのフィンはジタバタ、宇宙フクロウが現れて「失敗だ…」と呟くという不気味な悪夢でした。
フレイムPがフィンに幻滅して、2人の関係が破局する未来が、宇宙フクロウによって実現したわけです。
67話Bパート『空の魔女(Sky Witch)』
・マーセリンとクラビットの格闘シーンは、本来「クラビットがマーセリンに体当たり→マーセリンがクラビットの耳をつかんで肘打ち→クラビットがマーセリンへ接近し耳をぶつけて攻撃→また接近してきたクラビットをマーセリンが天井へキック」という流れですが、日本版は「クラビットがマーセリンへ接近し耳をぶつけて攻撃」の部分がカットされています。日本版をコマ送りしてみると、クラビットがマーセリンに接近した瞬間、いきなり動きが飛んで天井へのキックに繋がっているのがわかるはずです。
・同じくマーセリンとクラビットの格闘シーン。キックで天井に打ち上げられて床に落下したクラビットが人型に変形した直後、マーセリンが怪物顔で睨むシーンがありましたが、日本版ではカットされています。
72話Aパート『僕らの車(We Fixed a Truck)』
・トラックの燃料を作る過程?にて、ブレックファースト王国の温泉で入浴中のキャラをフィンが後ろから押さえつけるシーンがカット。
・温泉からお湯を汲むシーンは日本版でも残っていますが、トリミングされてフィンが押さえつけている様子は見えないようになっています。
・最後、バナナマンが連行された後で泣き出したビーモをバブルガムが慰めるシーンが、日本版だと少し短くカットされています。バブルガムの「It's okay, BMO. It's a very mild offense」というセリフの「It's a very mild offense(軽い罪よ)」と喋る部分が日本版ではカットされています。
72話Bパート『ツリートランクの結婚式(Apple Wedding)』
・ウーの王様が挙式を執り行うことをツリートランクから聞かされたバブルガムが激昂して出て行った後の、ツリートランクとママの会話シーンが日本版では短くカットされています。
「プリンセスを怒らせちゃったみたい」と言うツリートランクに対し、ママは「あなたがハンサムと結婚するからプリンセスはヤキモチ焼いてるのよ、素晴らしいイケメン。ああ、彼ってイケてるわ。元気なボローニャファクトリーよ…」みたいなことを言い出し、ブタさんをボローニャソーセージに例えて、彼への性的興奮を赤裸々に語ります。ツリートランクはたまらず「ママ、お願いだから、彼をイケてるボローニャファクトリーって呼ぶのをやめてちょうだい!」と頼みますが、ママは逆に「ボローニャファクトリー!ボローニャファクトリー!」とさらに連呼。「ああ、今日は完璧な一日だったのに…」と嘆くツリートランクの姿が描かれていました。
・ランピーが、フィンに自分から体を押し付けておきながら「ちょっとアンタ、女の体に触ってるわよ!」とのたまうシーンがカット。
・結婚式の場面、ブタさんとツリートランクが舌を絡ませてキスするシーンがカット。
・みんなが牢屋に入れられた後、元夫ワイアットとママがキスしているのを目撃して、ツリートランクがショックを受ける場面がカット。
・ラスト、日本版では牢屋の扉が開いて全員が出て行ってそこで終わりですが、オリジナルだと取り残されたブタとツリートランクの会話が少し続きます。
「私たち、二人だけの場所を手に入れたみたいね…私の言っていることわかるかしら?」と語るツリートランクに対し、ブタさんが「待って、こ、ここにカメラがあるかもしれないと思わないか?」と言いだし、バブルガムがドキっとするシーンで本来終わりでした。
このシーン、なんでカットされたんだろう?と最初は思ってたんですが「if you know what I'm saying(私の言っていることがわかるかしら?)」というセリフと、監視カメラを心配するブタさんの様子を考えると、ようするに二人っきりになったからイチャイチャしましょうよ、とツリートランクが誘ってるっていうアダルトな会話なんですね。
74話Bパート『ルートビアの推理日記(Root Beer Guy)』
ラストシーン、ゴミ箱に捨ててあるタイプライターの紙には、オリジナル版には何も書かれていませんでしたが、日本版には「The End」の文字が追加されています。
75話Aパート『レモンホープの旅立ち(Lemonhope Part One)』
・レモン王国から逃げ出したレモンピープルが、捕らえられて城にほうりこまれ、レモングラブに食われてしまったことが音声で示されるシーンがカット。
・ラストシーン、本来は「熱さでレモンホープの頭頂部が発火し、砂漠に行き倒れると、怪しい雲がレモンホープを見守るように浮かんでいる」…という場面で終わりでしたが、日本版ではカットされています。
75話Bパート『レモンホープの帰郷(Lemonhope Part Two)』
・起床したレモンホープにむかってフランネルが話しかけていたら、石炭をいれたバケツを落っことしてしまう…というシーンがありますが、日本版では少しカットされています。オリジナルでは「船倉に白炭はまだあるかね?黒いダイヤ(石炭)が多いことは、惚れ薬が多いのと同じなんだ。昔から言うところの3つのRだよ。わかるかな?ロ・ロ・ロマンスだよ、ほら。私は恋がしたくてしかたないんだ。恋愛はすっかりご無沙汰だ…」みたいなことを言っているのですが、バケツを落っことす直前の「私は恋がしたくてしかたがないんだ(I can't wait for some lo-o-ve.)」の部分が日本版ではカットされています。
・レモングラブが破裂した後、気絶したレモンホープが夢を見ますが、これも微妙にカットされています。長い階段の最上段めがけてレモンホープが飛び上がるシーンは、本来ややスローモーションになっていたのですが、日本版だとここを僅かにカットし短縮しています。このシーンで流れる音を注意して聴いてみると、「ノックの音」の鳴り方がなんだか不自然なのがわかると思いますが、これはカットされた影響です。
・同じレモンホープの夢のシーンで、外に出たレモンホープが海を見渡すシーンもカットされています(このあたり、カットされた理由が謎です。何かの時間短縮のためなんでしょうか?わずか数秒なのに…?)。
78話Bパート「あの頃に戻りたい(Bad Timing)」
・ランピーがバブルガムの城に火炎ビンを投げ入れるシーンがカット。日本版でランピーがトラックを城へ突っ込ませる前に、既に火災が発生してたのは、先に火炎ビンを投げ込んでいたからです。
79話Aパート『目覚めのとき(Wake Up)』
・運んでいるプリズモじいちゃんから吐き出された、大量の魔物が画面を覆うシーンがカット。
・プリズモじいちゃんが砂のように崩れて死ぬシーンがカット。
79話Bパート『シタデル(Escape from the Citadel)』
・シタデル監視兵のビームがマーティンの右足に直撃する場面がカット。
・その後も骨がむき出しになったマーティンの右足が映らないようにトリミングされています。日本版だと、いったい何が起こって、フィンが何でそんなにショックを受けてるのかが、非常にわかりにくいです。
ちなみに下画像の下段の右から二番目、よく見ると背景の上部分がおかしくなっていますが、これはマーティンの右足を映さないよう上寄りでトリミングすると、画面の枠が絵をはみだしてしまうため、絵を適当に貼って背景画を足したようです。
・マーティンが自分の足を指さしながら、監視兵の体液を「"手羽先の穴"に塗ってくれ」と言うシーンがカット(ここはトリミングで隠しようもない)。
・マーティンの右足に血管や筋肉が再生していく具体的な描写がカット。
・同じく、監視兵の体液によってリッチに肉体が形成されていく過程も、詳細なところが映らないよう日本版ではカットされてます。
・フィンの草の右手が肥大化するシーン&右手がちぎれてしまう瞬間がカット。これまた決定的で重要な場面がカットされていて、何が起こったのかがわかりにくくなっています。
81話Bパート『マーセリン&ランピー(Princess Day)』
・冒頭、会議の場でブレックファーストプリンセスが「我が国とスライム王国は毎月、砂糖ひと袋と卵4個の交換を行ってきました。ですが最近は卵の数が足りないのです!」と喋りますが、この後のシーンが日本版ではカットされています。
オリジナルでは、卵の生産量低下を咎められたスライムプリンセスが「命令された通りに卵を産んだりなんてできないわよ!私は職人なの!」と声をあげると、ブレックファーストPがスライムPの体内に卵があるのを見て「あなたは今、卵を持ってるじゃない」と言い返し、指摘されたスライムPが「よくもまあ…!」と怒るシーンがありました(…って、スライム王国がブレックファースト王国に輸出している卵って、スライムたちが産んだ卵なの?もしかしてこの卵からスライムが孵ったりするの?)。
・ランピーとマーセリンがコンビになって、悪ノリしてブレックファースト王国で色々イタズラをやらかす…というのがこの回のストーリーなわけですが、日本版だとマーセリンとランピーの出会いから意気投合までの流れが丸々カットされています。
会議から抜け出したランピーがパンケーキの壁にナイフで傷をつけながら、BFプリンセスから侮辱された怒りを滲ませていたところ、マーセリンが現れて「あたし、あんたの雰囲気好きなんだ。カッコいい。あんたって相手が誰であろうと気にしないし…」とランピーを慕っていたことを告白。「ええ!特に”脂っこいハッシュの塊”なんかにはね!あの間抜け、あたしを侮辱したわ!」と激昂するランピーに、「じゃあ仕返ししよう。思い知らせてやろうよ」とナイフやフォークをたくさん取り出して復讐をもちかけるマーセリン。ランピーは「あんたってワルね…」と言いながらも仕返し計画に乗ることになる…という流れでした。
日本版だと、マーセリンが会議場から出たと思ったら、いきなりランピーと並んで廊下を歩くシーンに繋がっています。
・その後、マーセリンとランピーがBFプリンセスの部屋を荒らして逃げ、追いかけてきたシロップガードをマーセリンが驚かすのは同じですが、驚いたシロップガードが外へと落下し、仲間が駆けつけてくるシーンが日本版ではカット。
・ランピーたちが車を盗んで出かけるのは日本版にもありますが、車の鍵穴にナイフをガチャガチャ突っ込んでエンジンを始動させるシーンはカット。
・そして、マーセリンとランピーが、車でBFプリンセスをはねてしまうという重大なシーンがあるのですが、日本版ではカットされています。
車を走らせていたら、制止しようと前に飛び出してきたBFプリンセスと衝突。人身事故に動揺するランピーを落ち着かせ、マーセリンはBFプリンセスが無事生きていることを確認すると車のトランクに放り込んで、再発進。 景気づけにさっきBFプリンセスの部屋から盗んできたCDをコンポで鳴らし始める…という内容でした。
日本版はこの事故のくだりを丸ごとカットしてBFプリンセスを砂漠に置き去りにするシーンに繋げているので、見ていてわけのわからない展開になっています。
・ラスト、日本版ではシュトレーデルが「欲しいものは見つかりましたかー?」と言って、皆が歓声を上げて終わりですが、オリジナルだとまだ続きがあります。スライムプリンセスが「待って!卵を産みだす準備ができたようよ!」と言って卵をひり出すとそれがシュトレーデルに命中、卵まみれになったシュトレーデルが「ハッピープリンセスデイ!」と言ってタイトル回収して終わりでした。スライムPはエピソード冒頭でブレックファーストPから「あなた今、卵を持ってるじゃない(出しなさいよ)」と咎められていたので、望み通りにくれてやった、ということですね。
まとめ
修正を受けたシーンの内容を見ていくと、セクシャル・ショッキング・グロテスクな表現、犯罪的な行動などが規制の対象になっているようです。
ただ、どうしてこれが修正されたのかという理由はだいたい想像がつくのですが、「どういう表現ならセーフで、どこからがアウトなのか」という基準が見れば見るほどよくわかりません。
こんなとこカットしなくてもよくない?と思ってしまうほど些細なカットをしているかと思えば、それ以上に過激と思えるシーンは問題なく放送されたりしている場合もあるからです。修正がシーズン5以降に数多いことから推測すると、途中から規制が厳しくなった可能性もありますが…。
修正の是非について個人的な考えを言えば、基本的には否定的です。だいたいは過剰な自主規制に思えますし、カットされて話の内容がわかりにくくなっていたり、トリミングによる違和感や見栄えの悪さはやっぱり勘弁してほしいです。
ただ、こうして修正点を確認していると、「これは子供向けアニメとしてはちょっと過激なんじゃないか」と、オリジナル版の元々の表現に疑問を感じた部分も少なからずありました(『シタデル』のグロ描写への妙なこだわり、『ツリートランクの結婚式』の性的描写の多さ等)。
アドベンチャータイムは子供向けアニメというジャンルでありながら、明らかに大人向けな黒いギャグ、ハードなストーリーが展開されるのが特徴ですが、子供向けの枠で「子供向けからの逸脱した要素」をやった結果、表現規制にひっかかって本来の表現がファンに届かないのだとすると、なんとも悩ましい話ではあります。