ふるやの森

あまり他で扱われていない事柄、個人的に書き留めておきたい内容など

アドベンチャータイムのAからZまでを紹介する「Adventure Time: An Algebraic A to Z」

今回紹介する本は、「Adventure Time: An Algebraic A to Z」です。

これはざっくり言うと、アドベンチャータイムに登場するキャラクター、地域、アイテム等をアルファベット順に紹介している事典・用語集です。

書名の「Algebraic」とは普通「代数的な」という意味ですが、この場合は「素晴らしいA to Z」とか「イケてるA to Z」みたいな意味になるようです(※主人公フィンは、「スゴい・カッコいい・イケてる」という意味で「Algebraic!」や「mathematical!(数学的)」と感嘆の声を出すことがあるんですね。最初、書名の 意味がわからなくて、「恐怖のパジャマパーティー」を見ていたら「Algebraic!」と叫ぶシーンがあって気づきました…

キャラクターたちで描かれたアルファベットの文字絵がじつにかわいいですね。マジックマンの脚で作られた「H」がなんかツボです。

アドベンチャータイムの事典といえば「The Adventure Time Encyclopaedia」という本もあり、そちらと収録している項目はカブる部分もあるのですが、本書はより広範というか、表紙裏の紹介にnerdy stuff(オタク的なもの)と書かれているとおり、かなり些細でマニアックな部分まで扱っているのが特徴です。

もちろんフィンとかジェイクとかバブルガムとか、メインキャラの記事も大きく紙面を使って掲載されています。

でもそればっかりじゃなくて、ほとんどの人が覚えてないようなマニアックな事柄まで載っていて、それが本書の見どころなんですね。

例えば「I」の項目を見てみましょう。

「Ice King(アイスキング)」とかアイス王国関連のものはもちろんとして、後に載っているのが「Imagination Machime」「Imagination Zone」「Inside-out Bird」「Instant Bath serum」…。

ここだけ見てもなんかもう、チョイスが独特ですよね?w

アドベンチャータイムって、一度こっきりしか登場しないわりに視聴者にやたら強い印象を植え付けていくキャラクターとかが多いんですが、そういうマイナーなれど忘れがたいものたちに、再びスポットを当てているのがこの本の素晴らしいところだと思います。

どの項目にもイラスト付きなのがナイス。眺めているだけで楽しいです。

そしてこの本、各項目の説明文も妙に面白いです。

ぜんぜん普通の説明も多いんですけど、ところどころに筆者独自の解釈や笑える表現があって読み応えがあります。

まず、しょっぱなのページに載ってる「A」の章の「Abracadaniel(アブラカダニエル)」からして「魔法使いバトルに勝ったことで彼はキス狂いの変人に変わり、フィンは彼を倒す以外に選択肢がなくなりました」と、めっちゃ曲解されてひどい書かれようになっています。

他にも、Rump Town(※「暗い橋の下で」回でデカ足に変えられたフィンが訪れるも、住人に怪物扱いされて追い出された町)の項目で「でかいケツみたいな頭の形をしているくせに、ランプタウンの住人はフリークにはあまり親切ではありません」みたいな鋭いツッコミがあって笑いました(そう言えばそうだ!)。

ちなみに、フィンの父「マーティン」の項目もあるのですが、「彼はフィンをいつ何故捨てたのか覚えていませんが、彼の素行の悪さと服装のセンスの悪さから考えれば、マーティンがフィンを捨てたことはフィンにとって一番良かったのでしょう」と、なかなかこっぴどく評されています。本書が出版されたとき、マーティンとフィンの過去は明らかになっていませんでしたから、、こういうのもシーズン6時点での評価としてなんか貴重な感じがしますね。

 

本書はアドベンチャータイム関連の本のなかではあんまり知られてないようなのですが、装丁もかわいらしく個人的にかなりお気に入りの本です。アドベンチャータイムのファンなら持っていて損はないと思いますね(この前の記事でもそんなこと書いたな…)。

 

 

 

 

…ところで、本書から得られた情報で一番衝撃だったのは、「Mars(火星)」の項目で、「水星は燃え尽きて火星が太陽の第三惑星になった」と書かれていたこと。

これ、アニメ本編では言及されていない裏設定ですよね?

「悪い夢」に登場するホログラムの太陽系図には水星が映ってないという話を前に見たことがあったのですが、やっぱりアドベンチャータイムの世界では水星が消え去っているようです